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2003年12月09日(火) 名古屋手羽先オフレポート(本番篇)

私はゼロ次会でそうさんと櫻屋の主人さんに相談していた。今日はどういうキャラでいこうかと。
このふたりにはすでにバレているものの、クリタさんと風太さんとは初対面だ。メールのやりとりから察するに、彼らはおそらく私に「落ち着いている」「まじめ」「しっかり者」といったお堅い系のイメージを抱いている。よし、ならばオフレポに「小町さんは僕が思っていた通りの、しっとりとした大人の色香を漂わせた女性でした」と書かせてみせようじゃないの。私だってたまには「あんまりベラベラしゃべるのでびっくりしました」みたいなのでなく、そういうオフレポを読んでみたいのだ。
しかし、そのもくろみは一次会がスタートしてものの五分で崩れ去った。乾杯の直後、私は不覚にも数年ぶりに再会した手羽先に「まいうーー!」と叫んでしまったのだ。
我に返ったときにはすでに遅し。なにか哀れなものを見るかのようなまなざしが惜しみなく私に注がれた。それはもう軌道修正がきかないことを物語っていた。

たいがいのオフでもそうだと思うが、座が盛りあがれば盛りあがるほど、メンバーが打ち解ければ打ち解けるほどオフレポで報告できることは少なくなる。それはなにも性悪な話ばかりしていたからではなく、プライバシーに触れる内容にまで話が及ぶからである。
そんなわけで一次会の席で私が感じたことをひとつだけ。
それは「この人たちは日記が本当に好きなんだなあ」ということだ。クリタさんが「血中日記書き濃度が滅茶苦茶高いメンバー」という表現をしていたけれど、日記の読み書きに対する思い入れ、自サイトへの愛着はたしかに相当のものがあった。
それを大切に思うがゆえの悩みやジレンマについても話し合った。そんな姿を「イタイ」と見る人もいるかもしれない。しかし私の目には、この世界に身も心もどっぷり浸かっていながら「たかが」「所詮」などという言葉を遣って自分のやっていることに自嘲的なポーズを取って見せる人より百倍すてきに映る。
いくつものオフに参加してきたが、こういう場で話題にのぼる日記はほぼ決まっている。今回も“時の日記”と言っても過言ではないある日記について手厳しい意見が飛び出したのだが、ああでもないこうでもないをやりながら、私はその書き手に対し、「たいしたものだなあ」と感服していた。五人中五人が読んでいるという事実も恐るべしだが、三十代、四十代という十分大人の、しかも昨日今日書きはじめたわけでない人間にこれだけ語らせる日記というのはそうはない。
自分のいないところで話題になるなんて、なにを言われているかわからないからありがたくないと感じる書き手もいるかもしれない。でも、その内容が肯定的なものであれ否定的なものであれ、名誉なことではないかなと私は思う。
誰かの日記を読む------それは書き手へのささやかな降伏といえるのではないか。頼まれてもいないのにいくばくかの時間とお金と手間を費やして、そこにある文章をわざわざ読みに行くのだから。「嫌いなんだけど読んでしまう」という話は耳にするし、「敵性読者」なんて言葉もあるけれど、読まずにいられないというその時点で、書き手の持つ魅力に屈していると私は思っている。
だから私は好きになれない書き手のテキストはまったく読む気にならないし、レベルが低いだのつまらないだのと難癖をつけながら、そのサイトに日参している某掲示板の住人たちを笑ってしまうのだ。

あっという間に二時間が経過、二次会のカラオケボックスへ。
ここでの経過はクリタさんのオフレポに詳しくあるので興味のある方にはそちらを読んでいただくとして、あえてひとつだけ書くとするなら、ル・クプルの『ひだまりの詩』のイントロが流れたとき、風太さんが「うわあ、この選曲、小町さんのイメージそのものだなあ!」と言って握手を求めてきたことだろうか。
「まあ、そうかしら」
思わず相好を崩したら、「会うまでの、だけどね」だって。いまニギニギした分返して。
その後、日付はとうに変わっていたが三次会に突入。一次会では五人で二時間、つまりひとりあたり二十四分間しか話していない計算になる。いくら倍速モードでまくしたてたとはいえ、話し足りるわけがないのだ。
ここでもいろいろ語ったが、印象に残ったのは「ハグ」の話だろうか。五人中三人(風太さん、櫻屋の主人さん、クリタさん)がハグ好きで、気心の知れた相手とはあいさつがわりにそれをするという話を聞いて驚く。
私などハグという言葉を知ったのがここ二、三年の話であり、過去に異性の友人とその名で称されるスキンシップをしたこともない。だから好きも苦手もないのだけれど、私はスキンシップと恋愛感情を切り離して考えることがうまくできないタイプなので、相手が外国人でもないかぎり、好きな男性以外との頬を合わせての抱擁は無理な気がする。
……という話をしていたら。
午前二時半に三次会がお開きになり、風太さんが関西組の私たち三人をホテルまで送ってくれたのだけれど、おやすみなさいを言おうと振り返ったら、そうさんとギュウギュウ抱き合っているではないか。
おお、これが噂のハグですね!櫻屋の主人さんなんて年季が入っているだけあってとても自然。ふうん、ぜんぜんいやらしくないものなのねーと思いながら見つめる。
で、私の番。ご、ごめんなさい、私、注射の列に並ぶ小学生みたいな顔をしていたのではないかしら。嫌とかノリが悪いとかそういうのではなくて、ただどうしていいかわからなくて緊張していたの。きっと棒みたいに突っ立ってましたね……。
私って妙に堅いとこあるんだよなあと思いながら眠りについた、あるすてきな夜のお話でした。

<追伸>
クリタさん、風太さん、そうさん、櫻屋の主人さん。楽しい一日をありがとう。また会いましょう。

■こちらのオフレポもぜひご覧あれ。
幹事クリタのコーカイ日誌(クリタさん)/12月7日付8日付9日付
BOKUNCHI(風太さん)/12月8日付
歯医者さんの一服(そうさん)/12月8日・9日付
櫻屋(櫻屋の主人さん)/12月8日付9日付10日付

【あとがき】
風太さんによると、私はそのときフリーズしていたそうです。やっぱりね……(恥ずかしい)。おいしいものと好きな日記書きさんに会えるオフがセットになってついてくる旅なんて最高。名古屋は本当に楽しかった。またどこか行きたい。九州とか北海道なんかいいなあ。