もうちゃ箱主人の日記
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| 2010年03月14日(日) |
ホームレス問題 総論と各論 |
寒さのせいか 近くの公共図書館に ホームレスが来て、その異臭、悪臭に閉口している。 ずいぶん離れていても 密集空間だから 気になると、とても勉強などしていられない。 早々に失礼することになる。 困ったものだ。
私の持論は 大都市には、懐の深さが肝要というもの。
ウィーンでは、あまり見かけない光景だが ロンドンの街頭で、乳飲み子を抱えた若い婦人が 市か慈善団体が配ったらしい真新しい毛布に身を包んで 「おもらい」をしているのに出会い ある種の「感動」をしたことがある。
ま、それは旅先での体験、いわば「総論」で 日常的に行く先でのできごと、「各論」では 迷惑なことに変わりない。
悪臭、異臭はもちろんだが そのほか、 (そのホームレスの方が読んでいるのは、新聞であることが多いが) 書籍を読んでいたとしたら 同じ本を手に取るのを 躊躇するかもしれない。
偏見であることは 承知の上だが 仕方がない。
以前、通っていた 日本橋の下町の図書館では 洗面所に「歯磨き、洗面禁止」の貼り紙があり その時は、何と役所的な対応と ホームレスに同情したものだが 今は、逆に、図書館側の苦労に同情する。
実際、下町の図書館では苦労しているらしい。 ネットをみると、都内の図書館で、女性専用・優先席を設ける動きが広がっているとか。 主な理由はホームレス対策で、安心して使える、使いやすくなった、と歓迎する 女性の声がある一方で、男性からは「不公平だ」との批判もあるそうだ。 ホームレス対策が一足飛びに、女性専用・優先席になるのは疑問もあるが 現場のご苦労がしのばれる。
ホームレスが図書館にやってくるのは 政府や区の対策が不備だからで、 図書館は安易に排除するべきでない、という いわば真っ当な意見を述べるヒトもいるが これこそ「総論」で ご自身、その場に居合わせてみたらどうなの? と、伺いたくなる。
ネットをみたら、ほかに 下記にような書き込みがありました。
一部を引用します。
・・・・・・・・・・・・・ @ 図書館とホームレス問題の論点 http://diary.lylyco.com/2008/09/post_156.html
・・・・ ずいぶんと話が錯綜しているように見えるので、強引に整理して私見を述べる。
論点1:ホームレスに公共の図書館を利用する権利はあるか?
公共である以上は、ある。 問題は「図書館を利用する」というとき、その利用目的を問うべきか否か、である。 図書館というのは基本的には「図書の閲覧、貸出に最適化された公共施設」だというのが 一般的な認識だと思う。 とはいえ、多くの図書館は冷暖房完備でイスやテーブルがあり、ウォータークーラーや 自動販売機が設置されていたりもする。 つまり「快適な空間」を同時に提供してもいる。 そして、この快適な空間こそが目的で図書館にやってくるという人はたぶん珍しくない。 そういう人を明確に選別し、排除することはたぶん難しい。 つまり、利用目的による排除は現実的ではない。
論点2:公共施設の利用規定はどうあるべきか?
これは公共の施設一般に敷衍できる話である。 体育館にしろ公民館にしろ、それぞれの施設はそれぞれの目的に最適化した作りになっている。 けれども、その事実のみを以て目的外利用を排除する理由とはならない。 公共施設であれば、その利用規定についても公共の意見を以て定めるべきだろう。 一般には「公共の利益」がその判断基準となる。 もちろん、公共の利益の中にはホームレスの利益も含まれる。 ただし、すべての利用者の利益を最大化することが現実的に不可能である以上、「落とし所」を 探ることになる。余談だけれど、ホームレスは市役所や体育館には寝に行かないんだろうか。
論点3:利害が対立するとき優先されるべき利益は?
誰にも公共のサービスを受ける権利がある。 権利が侵害されるとき、原因を取り除こうとするのは自然である。 図書館のリソースは限られているから、利用者が一定数を超えると普通早い者勝ちになる。 快適な昼寝場所として図書館を利用しているAグループと 図書閲覧場所として図書館を利用しているBグループがある。 Aグループ同士、或いは、Bグループ同士でリソースを食い合う場合、個々の利害は 対立するけれど、おそらく排除の議論は起こらない。 ところが、Aグループ対Bグループだと権利闘争が起こりやすい。 どちらの権利が保護されるべきかは、所属社会が議論して決めるしかない。
論点4:排除の議論と差別の議論のすり替え
所属社会が図書館の利用について、差別的な視点を極力排した形で排除すべき迷惑行為を 規定したとする。 たとえば「不当なスペースの占拠、故意の騒音など図書館利用の明らかな妨害行為、 その他違法行為など」を排除対象と規定する。 これは結果として図書館の利用目的をある程度制限する。 ただ、排除対象はホームレスに限定されない。 ルールを恣意的に運用しホームレスのみ排除するなどは論外である。
図書館利用の実態をホームレス差別の根拠とするのはできの悪い議論のすり替えである。 ただ、こうしたルールの策定自体をホームレス差別であるとするのもまた議論のすり替えだろう。
まとめ:図書館と人権?
公共施設は誰にも利用権があるけれど、利用者同士の利害が対立することもある。 残念ながら、すべての人間のすべての利益を守ることはできない。 そのとき守られるべき「公共の利益」については、公の合意を以て定めるよりない。 ただし、その定めによってある特定の属性の人間が不当に不利益を被るようなことがないよう、 十分に慎重を期すべきである。 まあ、この辺りをガイドラインにしてしまうと、実質的にホームレスが図書館で安眠を貪ることは 難しくなるかもしれない。 ただ、ホームレス対策と図書館利用は別個の問題だ。 それを以て人権問題だなどというのは議論の飛躍だろう。
図書館利用が人権問題とは風が吹けば桶屋が儲かる式の牽強付会ではないかと思う。
posted in 08.09.01 Mon
もうちゃ箱主人
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