もうちゃ箱主人の日記
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2010年02月01日(月) 2つの 皿   ・・ 西脇の2つの詩

とても暖かい日中が終わると
雪が降ってきた。


豪雪の町、小千谷に生まれた
西脇順三郎に雪を歌った詩が
ないのは不思議であって
不思議でない。

月並みな感想だが
こどもの頃から
雪と共に生活した者ゆえの
アンビヴァレントな感情なのだろう。


そんなことを
考えながら
ふと
『Ambarvalia』1933 と
『あむばるわりあ』1947 の
2つの詩集を思い出した。


改作された後者の詩は
おしなべて
前作より
評判が悪い。

でも
私は
この作品 「皿」については
改作の方が好きなんだなぁ。

皆さんは
いかがですか。

軽い気持ちで
お付き合いください。




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    皿

黄色い菫が咲く頃の昔
海豚は天にも海にも頭をもたげ、
尖つた船に花が飾られ
ディオニソスは夢みつゝ航海する
模様のある皿の中で顔を洗つて
宝石商人と一緒に地中海を渡つた
その少年の名は忘れられた。
麗(ウララカ)な忘却の朝。


(詩集『Ambarvalia』1933 から)


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    皿

黄色い菫の咲く頃の
今は昔
海豚(ドルフィン)は天にも海にも頭をもたげ、
船の尖りに花を飾り
ディオニソスの老神が
何事か夢をみながら航海する
あの模様のついた皿の中で
顔を洗ふ麗(うららか)な朝の忘らるる
そんな日に
宝石商人と一緒に地中海を渡る
少年も犬も忘れられ
カラブリアの山々も忘らるる


(詩集『あむばるわりあ』1947 から)


もうちゃ箱主人