もうちゃ箱主人の日記
DiaryINDEX|past|will
うかうかすると 冬が終わりかねない(?)ので 冬を歌った西脇の詩を、おひとつどうぞ。。。
////////////
冬の日
或る荒れはてた季節
果てしない心の地平を
さまよい歩いて
さんざしの生垣をめぐらす村へ
迷いこんだ
乞食が犬を煮る焚火から
紫の雲がたなびいている
夏の終りに薔薇の歌を歌った
男が心の破滅を歎いている
実をとるひよどりは語らない
この村でラムプをつけて勉強するのだ。
「ミルトンのように勉強するんだ」と
大学総長らしい天使がささやく。
だが梨のような花が藪に咲く頃まで
猟人や釣人と将棋をさしてしまった。
すべてを失った今宵こそ
ささげたい
生垣をめぐり蝶と戯れる人にため
迷って来る魚狗と人間のため
はてしない女のため
この冬の日のために
高楼のような柄の長いコップに
さんざしの実と涙を入れて。
(詩集『近代の寓話』所収)
もうちゃ箱主人
|