もうちゃ箱主人の日記
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2008年06月29日(日) ワインレッドの詩人は夏至を…

アルフォンソ様におせえて頂いたが
ニッケイも味なことを、やるのぉ…(^^;)

21日は夏至でしたが
この日のニッケイのコラムは
西脇順三郎と田村隆一を
引用しておる。

 一部を…

春秋(6/21)

 「ワインレッドの詩人は夏至を予感しながら
  野の草木にやどる
  精霊と化す」。
田村隆一の詩「ワインレッドの夏至」の一節だ。
超現実派詩人・西脇順三郎への賛歌で、
初めて買った順三郎詩集の印象深い表紙の色を題にとっている。

▼詩には順三郎の詩句
 「また脊髄の中を/夏至が昇ってきた」が引用してある。
この短い詩句でも分かるとおり、順三郎の作品は難解だが、
隆一はそこに「哀」を見つけ「ワインレッドの夏至」をこう結んだ。

 「哀
  へと旅を旅した詩人の声は
  哀
  を活性化し多声化しながら
  諸生物の夏の喊声を
  よびおこす」  
   《後略》
  

コラムはこの後
 環境省の研究委員会が発表した地球温暖化の影響についてのリポートを
とりあげ、「高温によるブドウの着色不良」「多雨によるミカンの浮皮症」「南方系魚類の増加」「黄葉・落葉の遅れ」などの自然界の異変を紹介し

>これから暑くなるのが怖いように感じる。
 今日は夏至。
 やって来る夏本番に「よびおこされる諸生物の声」は
 喊声なのか、悲鳴なのか。
 
 と結んでいる。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080620AS1K2000820062008.html


せっかくなので
田村の引用した西脇の詩の全文を
紹介しませう。


   夏至

 また脊髄の中を
 夏至が昇ってきた
 ヨハネのマラルメのゲジゲジの
 せぼねを食うためにオナガが
 笑いながらかけめぐっている
 磯にうちよせる波が小さく見える
 カマキューラの山々なども青白く
 波うっているニイキューラの書斎の
 窓などあけて谷底の
 うぐいすを聞きながら
 ボッカクの六人はシャーマンヒッピー族の
 ように高楼のテッペンにねそべり
 正午のパンの牧神への
 唱のパイのパイオーンを捧げて
 饗宴をひらいてから次の
 夕暮の饗宴へと急いだ
 座を一人一人下って見よ!
 人間がおもちゃを作る木を
 赤と黄の最高の間色の
 巨木の野生のクワの実を

  (詩集「人類」より)




*新倉俊一先生の『西脇順三郎全詩引喩集成』によれば
 各種の引用は次の通り。 (筑摩書房、1982年、357−8頁)
  但し、一々そんなことに拘らなくても
  この詩の魅力は、わ か る
            ……はず。


・初出は、詩学社版『西脇順三郎詩画集』(私はこれで読んだ)
・ヨハネのマラルメの〜:マラルメの詩「エロディアード」からの引用
・カマキューラ、ニイキューラ:それぞれ「鎌倉」「新倉」のモジリ
・ボッカクの六人: 西脇本人、会田綱雄、吉岡実、江森国友、鍵谷幸信、新倉俊一
・唱のパイのパイオーン:パイオーンはギリシャ語で「神の賛歌」。
            パイは仏教用語の仏の徳を賛美する梵唱(パイ)にかけている


もうちゃ箱主人