もうちゃ箱主人の日記
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2006年10月13日(金) 音楽学ゼミで読んだ本

今日の音楽学ゼミで読んだのは、↓

略歴をみると、著者は、まだ30代の女性で
芸大で音楽学の修士を経て、東大大学院で社会学を
修士から学び直したという。指導教官は、有名な上野先生。
(N先生から芸大時代の彼女を知っているとのお話を聞いた)
現在、東大助手。
本書は、博士論文を一般向けにリライトしたもの。
(それにしても、デビュー作を天下の岩波から
  出版するとは、たいしたもんです)

今回ゼミで取り上げたのは、私のセレクトによる。
偶然図書館でみつけたものだが
タイトルは、
『ドイツ市民社会と音楽〜教養の歴史社会学』に
したほうが、わかりやすいと思った。
今のタイトルでは、音楽学専攻者は見逃してしまいかねない。

内容について、著者からのメッセージがWebにあるので
下記に引用させて頂いた。↓

今日 私が報告者なので
(リポーターというと何か軽そう(笑))
昨夜、もう一度全巻を読み直し、気がつくと
朝 5時だった。ネコも寝ていた。
350頁は厚過ぎる。
アマゾンの読者評に、新書にまとめ直してもらいたいと
あったが、同感!
読書もほどほどにしないと、身体に良くないねえ… (^^;)

今日のゼミでは、その4章について、討論。




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@教養の歴史社会学  ドイツ市民社会と音楽
著者: 宮本 直美  出版社: 岩波書店  350頁
ISBN: 4000225472   価格: ¥ 6,930

(朝日ネットに書評が載ってます。↓)
http://book.asahi.com/review/TKY200604110249.html

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@岩波Webから
■ 著者からのメッセージ
 教養とは何か.この問いはこれまでにも数多くあったが,
何か人格形成の一助となるものというイメージ以上の答えは
得られなかったように思う.
本書は,これまでの問いとは別の方向から,教養というものが
よく分からないままに漠然と高く評価されてきたことの意味を
問い直そうというものである.
その曖昧な高い価値を解き明かそうとするときに,
音楽芸術が鍵として浮かび上がる.
本書の舞台となる19世紀ドイツでは,他国にないほど教養が
もてはやされ,その一環としてアマチュア音楽活動が広く
繰り広げられた.教養も音楽芸術も,人間として身に付けた方が
よいものとして高尚な価値が与えられているのはなぜなのか.
 音楽から教養を探り,また教養から音楽を探る考察の中で
明らかになるのは,J.S.バッハという天才の構築,
クラシック音楽の聴取作法,音楽学成立の過程であり,
音楽が芸術となる過程である.
 私は音楽学と社会学を専攻する中で,音楽と社会との関係を
いかに論じるかを考え続けてきた.
音楽が社会に影響されたとか,あるいは国民国家形成に巻き込
まれたというような一方向的な視角ではなく,社会の論理を
音楽活動の中に読み取る試みは,私が今のところたどり着いた,
音楽と社会を論じる一つの方法でもある.
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@著者略歴
1969年生まれ.
東京藝術大学大学院音楽研究科音楽学専攻修士課程修了.
東京大学大学院人文社会研究科博士課程単位取得退学.
専攻=社会学(音楽社会学,歴史社会学,文化社会学).
現在,東京大学文学部助手.
本書の基になった博士論文により,東京大学より学位取得.


@主な目次
序章 ドイツの教養と音楽
 第1節 教養というキーワード――ドイツの市民社会
(1) ニーチェの教養主義批判:ネガティヴな教養
(2) ゲーテの教養小説:ポジティヴな教養
 第2節 聖域としての音楽
(1) 自律性への信仰
(2) 音楽史を読み直す

第1章 教養を求める人々
 第1節 市民のアイデンティティ――教養という希望
 第2節 大学教育は教養の証明か――資格と教養のずれ
 第3節 教養とは何か――手の届かない理想

第2章 教養のアリバイ――アマチュア音楽活動
 第1節 教養の実践?――合唱運動
 第2節 音楽祭の誕生――オラトリオ・ブーム
 第3節 教養の共同作業

第3章 目に見える教養――バッハ復興運動
 第1節 天才の構築――教養市民の代表者
(1) バッハの復活と受容:《マタイ受難曲》の再演
(2) 市民としてのバッハ
(3) 国民的記念碑――具現化された教養
(4) 過去の音楽を演奏するコンサート
 第2節 天才にひれ伏す市民――鑑賞作法の成立
 第3節 教養の共同確認

第4章 音楽芸術の誕生――音楽批評から音楽学へ
 第1節 音楽を語り始める市民
 第2節 たどり着けないユートピア――音楽と教養
(1) 最も純粋な音楽:器楽
 (2) 音楽と言語
 第3節 音楽を語る作法――音楽学への道
 第4節 不可侵な聖域としての音楽
  (1) 音楽の語り方
  (2) 音楽と大学
  (3) 音楽の価値

第5章 音楽が暴く教養の正体
 第1節 音楽と教養
 第2節 教養がドイツ市民社会にもたらしたもの
 逆説としての本質化/教養の共同性/理念としてのドイツ


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