| | |
「ちょっと、お前に話がある」 夫がそう言った。
「あぁ、同じ組合で懇意にしている人の、新築祝いに行くって話?」
その話は二日前に夫から聞いたが、 同じ話を何度もする夫なので、 私に話したことを忘れて、また言おうとしているのかと思った。
「ちゃうちゃう、その話やない」
な〜んだ、新築祝いに行く話をした事は、覚えていたんだ。 ぢゃ、なんの話???
「お前、組合の婦人会に入らへんか?入ってくれと誘われたんや」
どっひゃ〜〜ん。 まさに青天のへきれき〜。 婦人会ですと? あの、夫所属の某飲食店組合の奥さまたちの集まりのこと? 平均年齢六十ン才の、人生にこなれた酸いも甘いも知り尽くした、 あのおばさま達の集まりに、私も入れと?
声を失って、夫に返答できなかったよ。
「どうや?入るか?どうする?お前、決めろや」
私に決断を求めている風に受け取れるが、実はそうではない。 私が「いやだ」と断っても、夫は、組合に断りなんて入れられないのだ。 その話は、店のお得意常連で夫の尊敬する方が持ってきた話だ。 この話を断って、そのお得意常連さんと気まずい関係になることを、 夫は最も心配しているはずだ。
それでも夫は、私に答えを求めた。 「どうや?どうする?入るか?お前が決めろや」
う〜ん、 一年ほど返事を保留したい気分。(笑)
捨て鉢になった私は、つい言ってはならない言葉をもらしてしまった。 「いいよ、入っても」
「ほーか?そなら、そう返事しとくわ。ホンマやな?いいんやな?」
いいわきゃないんだけど。(ー_ーメ)
「婦人会に入るのは、ワシのためやと思って入ってくれや」
なにいってんの。私は、声を荒げた。 「『ワシのためやと思って』じゃなくて、『ワシのため』に入るのよ。 誰が好きこのんで、そんな堅苦しい会に入りたいもんか」
夫、無言。
言えるもんなら、なんか言ってみろ。
というか、 「ワシのためにすまない。一生感謝します」くらい言え。
|
|