| | |
長女の彼氏候補は、いつの間にか彼氏へと昇格していた。
それに伴って、呼び方も変化した。
最初、顔見知りの時は「アイレ」と呼んでいた長女。 その後、彼氏候補となった時は、名字。
「お母さん、実はね…」長女がホヤンとした顔で私に言った。
「今は名字じゃなくて、名前で呼んでるんだよ〜♪ 『りょーちゃん』(仮名)って呼んでるの〜♪」
思わず私の口をついて出た。 「まさか、リョウイチって名前じゃないだろうね?」
すかさず、次女が言った。 「それってお母さんの昔の彼氏の名前なの?」
さすが次女。子供の頃から、その方面に長けていただけある。(笑)
(あのね、「一」も「二」もダメなんだよ。りょーいちもりょーじも、元彼の名前だから)
そう言いかけて、言葉を飲み込んだ。 やぶ蛇になっちゃ〜、かなん。
だからして、長女が『りょーちゃん』と呼ぶと、 背中がくすぐったくなる。
あぁ、遠き我が青春。 遠くにあるから、美しい。
|
|