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明日 咲く花
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2004年12月05日(日)  奥さん、事件ですっ。

夕方5時を過ぎると、あたりはもう薄暗くなる。

薄暗い中を、急ぎ足でスーパーへ買い出しにでかける。
もっと早く行けば良いのだけど、なかなかそうはいかない。
それに、夕方になると鮮魚たちが安いのだ。
1パック100円の値引きは、5人家族のうちにはとても
ありがたい。



いつものように買い物を終え、スーパーの出口に立った。
外は雨。
傘を広げようとしていると、後ろからトンと人が当たってきた。


「あ、どうもすいません」
身長175cm、体重80kgくらいはあるだろうか、大柄でひげ面の
男性が謝ってきた。
ウィンドブレーカーにジャージ姿。

「あ、すいません」
私も、謝り返した。

三女の中学の先生に似ているな〜と、心の中で思った。
生徒指導のF先生にそっくり。
あの男性も教職に就いているのだろうか?



帰り道、雨の中、自販機の前に立ち止まる。
タバコが切れているのだ。
小銭がなかったので千円札を自販機に入れる。
雨に濡れた千円札は、入れにくい。
それでもタバコを買うことは止めない。
タバコを取り出す手が、雨に濡れる。


踏み切りを越え、公園の前まで歩いた。


公園の横を通ろうとした時、向こうから車が曲がってきた。
車をやり過ごそうと、道の端に寄る。

ところが、車はどんどん私に近づいて来る。


え?


ゆっくりと近づいて来る。
当たりそうだ。
いや、当たる。


しょうがなく、私は立ち止まった。


車の窓が開き、男性が顔を出した。


「すいません、この道は通り抜けができますか?」


顔を見ると、先程スーパーで後ろから当たった男性だった。
人の顔を覚えるのは苦手だけど、さっきのさっき出会ったところ
なので見間違えるはずはない。


「あの、どちらまで行かはるんですか?」
気取って、京都弁で聞いてみた。

何故か私は人から道を聞かれることが多い。
ぼんやりふわふわ歩いているので、暇そうに見えるからだろう。

いつも道を聞かれた時と同じように、親切に相手に聞いたのだ。


「それが…」
男性が言いよどんだ。






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思いがけない言葉に驚いた私は、早くこの場を去るべきだと察知した。


「はい、この道は通り抜けできます」
きっぱりと告げた。
きっと、私は思い切り不審そうな顔をしていただろう。

その時、遠くの方でパトカーのサイレンが聞こえた。
もしかして…。
嫌な予感が私を包んだ。


男は車を走らせた。


良かった。とりあえず男は去った。
私は家へと急いだ。


ところが、大変なことに気付いたのだ。

男が車を走らせた方向には、私の家もあるのだ。
通り抜けできますと言ったが、それは間違いだ。
実はまっすぐ進むとつき当たってしまう。
そのつき当たりの手前には、私の家があるのだ。

私って、どうしてこうなんだろう。
物事を完璧に出来ない。どこか一本抜けている。


ドキドキしながら、家へ向かった。



幸い、家の回りに男の車はなかった。
急いでカギを開け、家の中に入った。
家の中に入りカギをかけ、やっとほっとした。



が、それからが忙しかった。
まず、三女にこの出来事を報告。
自室にいた次女にも報告。


遅れて帰宅の長女を、駅まで迎えに行く。
長女にも報告。

当然、夫にも携帯メールで報告。
しかし、夫は返事をくれなかった。


ひどい。冷たい夫だ。(ー_ーメ)



長女を迎える駅までの道、覆面パトカーを2台見た。
サイレンのピカピカを点滅させながら、音は出さずに巡回していた。


あの男に何か関係があるのだろうか?

そんな事を考えながら飲む酒は、酔いがなかなか回らなかった。
酔いが回らないうちに、夫が帰宅した。
さっそく、男との出来事を力を込めて報告した。

「それはお前、スーパーにいた時から狙われていたんや」

狙われていたのだろうか?
狙ったくせに、何もせずに去って行ったんだろうか?
まさか、「近くで見たらびっくり」な奥様だったので、恐れをなした
んだろうか?


「とにかく、しばらく気ぃ付けや」
夫に心配してもらい、ご機嫌で酔いが回って就寝した。



誕生日前、12月4日の出来事。

良い記念になりました。
もしもあの男が何かの事件の犯人だったら、また日記で大騒ぎ
するでしょう。


その時は、お相手をよろしく。



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