ことばとこたまてばこ
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2006年07月04日(火) 記憶

すべての生きる者たちの手が、
ひとつの凍えた骸にさし出された。


その骸を舐めよ、
なんと存外にしょっぱく冷たいことだろう。


もはやだれも通る者のない廊下を渡り、
聖なる水を運んでこい。

そして呑ませよ。


その手を舐めよ、
なんとしょっぱく灼熱であることだろう。



まなざしはけっしてそそがぬことだ。


手で額の曲線を触れよ、
手で目の弾力を感じよ、
手で鼻の筋をなぞらえよ、
手で唇のふくらみをまさぐれ、

手で骸と化した生者の顔をよみがえらせよ!


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