ことばとこたまてばこ
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2005年12月01日(木) ひきこもりて髪をぬく

めがねがずれてしまったので、ぼくはいま片目しか見えない。ずれたのならすいっと直せばいいのではないの?と思われるでしょうね。それができないのです、絶望的に。それはぼくの指先が極限の寒さに凍えて壊死しているからなんだ。つい今しがた、左の薬指と小指がぽろぽろとおっこちて、そのショックに震えたところでめがねがずれたんだ。

焦点の合わないぼやけた視界は、なんだかすべてが泣き崩れているようだ。そうだ、ぼくはこんな風景なんて見たくない。くっきりはっきりとすべてが鋭角的な風景こそ、こそ、こそ。あわあわと焦りながらめがねが元の位置にもどるように首を振ってー、振ってー。

「カレーができたよ。福神漬け真っ赤よ。椎茸入れたわ。カレーだわ」
ドアの向こうから母の声とどろく。ぼくはまだめがねと悪戦苦闘の最中。ざんばら髪を怯えながら振り乱す。めがねの位置はますます狂うばかり。より一層の怯えが背筋に押し寄せる。


やがて心の芯より、青くも、黄色くも、黒くも、白くもない、無情の灰色の塊、こみあがる。





嘔吐。




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