日常のかけら
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◇もう九月なのに…◇

「暑い…」

そう呟いて見上げた空は雲一つ無い痛い程の青空。
三蔵はこの暑い中、着飾って行列組んで出掛けてる。

「…生きてるかな、さんぞ」

三蔵は暑いのが苦手みたいで、暇な時は大雄宝殿の石床で昼寝をしてる。
確かに、本堂は天井が高くて、薄暗くて、ひんやりとした空気に包まれているし、風通しもいいから思った以上に涼しいけど、最高僧が床に寝そべってていいのかなって、思う。
でも、本当に冷たくて、涼しいから俺もつい、三蔵と一緒に寝転んで昼寝をして一緒に笙玄に怒られる。

今日みたいに暑い日に、綺麗に着飾って出掛けるなんて正気の沙汰じゃないって、三蔵が怒ってた。
だから、断るとか、行かないとか、笙玄と言い合いしてた。

「結局、行くんだよな、三蔵は」

結果がわかってても、一応は抵抗してあわよくば行かなくていいようにと、思ってたりするんだ。
でも、負けちゃうのが三蔵。
それでも、本当に嫌なら笙玄が何と言おうと逃げ出すから、今回はそんなに嫌じゃないんだと思ってるんだ。
ただ、暑いのが嫌なんだよな、きっと…。
俺もそうだし。

ホント、もう九月なのに秋はまだまだ遠いよな。
どうぞ三蔵が生きて帰ってきますように

(悟空)

2010年09月07日(火)