日常のかけら
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◇ドングリ◇

「笙玄、笙玄!」
「はい?」

庭掃除をしていた笙玄を呼んだら、「何ですか?」って首を軽く傾げた。

「あのね、これ!」

ズボンのポケット一杯拾ったドングリを掴みだして見せたら、ちょっとびっくりした顔をして、そして、にっこり笑ってくれた。

「たくさん拾えたんですね」
「うん!」

頷いたら、ちょっと考えて、

「じゃあ、小さな玩具でも作りましょうか?」

って、俺の顔を覗き込んできた。

「玩具?これで?」

今度は俺がびっくりした。
ドングリで玩具が作れるんだ。

「はい。可愛い弥次郎兵衛とかコマが出来ますよ」

そう言って、楽しそうに笑った。

「ここの掃除が終わりましたら、すぐ行きますので、お部屋で待っていて下さいね」

って、手に持った竹箒をちょっと上げて見せた。
それに、俺は大きく頷いて、

「早く来てくれよな」

ぎゅっと、ドングリを握った。

(悟 空)

2006年11月25日(土)