呼ばれた気がして振り返ったら、三蔵が今にも泣きそうな瞳の色をしていた。柔らかく吹く春風に金糸を揺らしている姿も儚げで。一瞬、このまま三蔵が消えそうな気がした。偶に、本当にごくたまに、三蔵から険しさや険が取れる時がある。そんな時の三蔵は酷く無防備で危うい。だから俺は三蔵を守りたくなる。そう、無意識に俺だけに見せてくれる三蔵の本当の姿。(悟 空)