寺院の庭に蝋梅が咲いた。薄く蝋で作った様な硬質で、けれど儚い仄かな香の黄色い梅。冬の厳しい寒さの中、春を告げるように咲く。その小さな花に金眼の子供を思う。ちらちらと舞う雪の欠片を恐れて今日は部屋に閉じこもっているのだろう。立春の勤めが終わったら帰りにひと枝手折って、お前を届けようか。大地の子供が笑うように。春はまだ遠い。(三 蔵)