気付かなければいい。こんな醜い気持ちなど。こんな不様な自分の姿など見なくていい。たった一言で揺らぐ己の脆弱さを今更ながらに噛みしめる自分の姿など。その澄んだ瞳には、明るい世界だけを映していてくれればいい。暗い想いはあの牢獄に捨てて来たはずだから。お前が綻ぶ笑顔を見せてくれたら醜い俺も少しは浄化された気持ちになるだろうから。だが、今は何も見ないでくれ。何も気付かないでくれ。今この時だけ……(三 蔵)