声優さんと映画とアニメと
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ビーボーイゴールドの今月の春抱きマンガ。岩城さんが監督との確執を乗り越えて新境地を開拓した作品で初日舞台挨拶、そしてなんと、日本アカデミー賞で冬の蝉が・・・
なるほど、役者と監督さんの相性やせめぎ合い、きっとあるだろうなって思ってしまいました。 で、ちょっと映画の薀蓄を・・・
コラテラルのマイケル・マン監督は、トムを岩城さんのようには殻から脱却させられなかった、マン監督は役者の本質を見るより自分の望む映像(画面配置や色や動き)をカメラに収めるタイプの監督さんなのではないかと思う。たとえばマイアミバイス、これのジェイミーもコリンも、ダーティな役なので厳しい男らしくやさぐれた表情なのは良いけれど、一度もキュートな表情を拝めなかった気がする。もしかして、マン監督がそういう表情を画面に納めるのが嫌いなの?マンは人嫌いなのかもしれない。人間の汚いどろどろとした部分を描くことには長けていても、その内在する美しさを表現することに興味がないのではなかろうか? 激しくダーティな争いの中でも刹那に見せる活きた役者の人間的な表情って、時としてぞくぞくするぐらい綺麗だったりキュートだったりするのになぁ・・・もったいないなぁといつも思う、設定がすごく魅力的なだけに、どうしてこんなに救われない風につくるのかなぁ・・・
一方で、自分の望む絵の中で役者の持ち味を最大限に引き出す監督さん、同じトムつながりで言えば、印象的なのは宇宙戦争でタッグを組んだスピルバーグ監督。 スピ氏の才能は作品の中のキャラがとても豊かな表情で生きている感じがする・・・トムは宇宙戦争で初めて、茫然自失でおしっこちびるぐらいに怖がったし、半狂乱になったし半泣きにもなった。普通なら良い男台無しのシーンなのだが、そんなトムがとても生き生きしていた。もっと役的にはカッコイイはずのミッションインポッシブルシリーズより、ずっと存在感があって、明らかにトムは宇宙戦争で一殻剥けたのではないかと思う。 同じく、スピルバーグ監督作品で、森川さんつながりのミュンヘン、エリックバナが従来とは違う表情を見せてくれた。こんなにもキュートで繊細な表情をする役者だなんて、只苦悩していたハルクよりもずっと繊細なのに強い信念が表情に表れていて、すばらしい表情をカメラに収めてくれた。 スピルバーグは人が好きで人間の感情を追及したい人なのではないだろうか? だからこそ、役者がその役の中に没入した瞬間の、刹那に見せるすばらしい表情を、最高に良く映えるアングルで映像に収める天才なのだと思う。
一方、正反対に人間を撮らせたら最低最悪で、美男も美女も見事にブスに撮影してくれるのが、ルーカス大先生(笑)。あの美女のナタリー・ポートマンもキーラ・ナイトレイも、みーんなそこいらの町のオネエェちゃん以下に、ハンサムでキュートがあふれんばかりのユアンですら、時としてとんでもなくブチャ、あの美形のヘイデン君なんか悲壮、ファンが嘆くこと嘆くこと・・・失言。 私、どうしてもスターウォーズは作品として没入できないのが、この役者さんの映像の不味さにあると思います。CGや着ぐるみ宇宙人は実に生き生きしてるのに・・・へんだなぁ・・・メカはすばらしいのになぁ・・・もっとへんだなぁ、ルーカスはメカフェチ?(爆)
やっぱり役者さんは、監督は可能なら選んだほうがいいと思います(笑)。
演技といえば、アクションについてもう少し。森川さんつながりの役者さんを引き合いに出します。 体当たりでやり直しが効かない、アクションシーン。たとえば、町が壊れたり、セットごと爆発(爆破)したりと、あまり何度も繰り返してそのシーンを撮影するには、あまりにお金がかかりすぎて、ほとんど一発勝負に(まあ、一発ではないと思いますが)なる、そんなシーンでの、役者魂というか役者センスのある役者さんといえば、実はがトムは秀逸だと思います。 彼は非常に体を鍛え、自分の意思でかなりの身体コントロールができるすばらしいレベルの役者さんだと思います。さすがに、長年アクション物を数こなしているだけのことはあります。彼は高校時代はレスリングでかなり強かったみたいですが、怪我で方向転換せざるをえなくなって、役者を目指したのでしたっけ(アレ?どこかの金髪の人と似てる?)。宇宙戦争では、逃げまどうシーンの、ちょっとダサくみえる逃げっぷり、これがまた上手い。なるほど、スパイでもなければ殺し屋でもない、単なるやんちゃな一市民ですから、スタントまがいのアクションはできない、でも、かろうじて危機から体を回避しながらも、全身好奇心の猫のように、目の前で起きているトンでもない事態がどうなるのかを知ろうと、動きながらも目をきょろきょろ、そしてきわどいタイミングで逃げ惑う様。 対照的なのが、コラテラルでの、すばらしく訓練を受けた軍用犬のようなしなやかな身のこなしでの銃さばきに格闘技、それが計算違いに取り乱し混乱していくにしたがって、手足がばらばらな動きをはじめ、素で転倒してみたり・・・トムはアクションにおいては、天才的であり、尚かつ努力で高いレベルに技を磨き上げたすばらしい役者だと思います。
動きの天才といえば、一見鈍感で鈍そうに見えるユアン・マクレガー。 彼も実はすばらしい身のこなしの役者の中の役者さんらしい、確かにアクション映画の出演も多い。かのビックフィッシュで、実写とCGの合成のために複雑な動きを監督が要求しても、リハーサルできっちりとその動きをマスターし、本番ではいともたやすく、リハと寸分違わぬ身のこなしをしたと、監督さん感心しきりでした(特典映像から)。ユアンは、どちらかというと自分のカラーを出さずに役のカラーに染まりながらもしたたかに存在感を出してゆくタイプ、声優の森川智之に非常に似たポジションに居る役者ではないかと思っている。そんなユアンなので、どんなタイプの役でも、すんなりきっちりとこなしていけるのでしょう。 きっと今後も各監督さんに引っ張りだこであろうと思われます。
それから、アクションシーンの身のこなしでは、もう一人の天才がレオナルドディカプリオ君。 彼、結構ぼてぼてぼよぼよとした体してるからドンくさいか・・・なんて思っていたら、ブラッドダイヤモンドで抜群の山猫のようなしなやかで逞しい身のこなしを見せ付けてくれました。この子役出身の役者さん、童顔のせいで中途半端に可愛くて、若い頃はもてはやされましたが、その後が使い難いのか役に恵まれない数年間、どうしているのかなぁと思っていたら、彼にほれ込んでいるスコセッシ監督がギャングオブニューヨークやアビエイターなどでせっせと彼の演技者としての才能を開花させてくれていましたが、たしかに中間ぐらいの年齢のときは他の監督からはあまり呼ばれていなかったように思います。 でも、おそらく今回のブラッド〜の作品でのパフォーマンスを見た映画関係者が、彼がとてもすばらしい中年期のアクションもこなせる演技派に成長したことを確認したに違いないと思います。扱うテーマがダイヤモンドでなかったら、おそらくアカデミー賞は彼の手中に収まっていた、そう思えるほどのすばらしい仕上がりでした。そういう意味では役者としての今後の彼の動向が楽しみで。是非スピ監督と組んでほしい。
そう、アクションで言えば、ブラッド・ピットを忘れてはいけない。演技で語りたくなるけど、ブラッドはもう、演技では独自の領域にいる感じだけど、アクションはどうかなぁ、あまり印象にないなぁ、そつなくこなしている、そういう感じではない?彼って、おそらく努力の人なのではないかと・・・。 ファイトクラブ、トロイなどで彼は体(全身の筋肉)から作り込んで役を完璧なものにして行った経緯があって、この人は結構な完ぺき主義者だなぁと実感。この部分はキアヌに近いポリシーなのではないかと。ブラピ(ぶたぴって書きそうになるなぁ・・・笑)、彼って本当は体育会系ではないのではなかろうかと、すこし疑っている。この疑いは、いまだ消えないのだが、それでも運動神経うんぬんよりも、己が身に役を憑依させてそれになりきることが出来る天才であるので、だからこそ、無敵の戦争の神にもなれるし、凄腕エージェントにもなれるわけで、そういう意味では身体コントロール能力はすばらしい人だと思う。役者としては天性の才があるということですね。
さて、最後にキアヌ君。 ごめん、多分運動神経はかなり良いんだと思うよ。でも、すこーし疑っていることがあって、彼は飲み込みが悪いのではないかなぁ?運動神経はアイスホッケーでプロを目指していたぐらいでかなりあると思う(そうじゃないとマトリクスの主役は務まらなかった)でも、首を痛めていてあまり首に自由度が無い(どこかの金髪のお兄さんと似てますね)せいもあるのか、スピード以外では戦争映画とかでのアクションを観たことがないので、まだキアヌにはやや疑いの念が払拭できません(笑)。せっかくカッコよくしなやかに動いてくれそうな役だったウォッチャーではすこし肥満気味だったし、アメフトの映画ではどこまで彼なのかさっぱり見分けられなかったし・・・なにか激しいアクション物、演じてくれないかなぁ・・・笑。
久しぶりに宇宙戦争のDVDを見ながら・・・ (蛇足ながら、この宇宙戦争の森川トムの演技は絶品の中の絶品です。MI3とどっちが上かなぁ・・・と、悩みます。)
薀蓄だけですが、そろそろ寝ます。
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