声優さんと映画とアニメと
もくじ一覧前の日次の日


2007年06月14日(木) 誠実派(2)

父親が退院できるかどうかの瀬戸際らしく、急遽、明日の昼に主治医と面談することとなったため、休暇をとって1日早く大阪に帰ってきました。
こういう風に急に大阪へ帰る場合、たいてい都合がいい(ぎりぎり間に合う)最終便の飛行機がちっとも空いてない、かわりに予約が取れた一つ前のフライトは時間的にぎりぎり間に合いそうにない・・・
ということで、早々に飛行機を断念して新幹線に飛び乗りました。

なんと隣に、すごーく雰囲気が森川さん似の、一見すると芸能人風(?)の、体格がチョイ良い茶髪お兄さんが来ました。ドルチェガッバーナのスーツを着こなし、なんだか派手な白黒チェッカー柄のメガネして、白金コンビのロレックスクロノグラフ・・・ちょっとだけ離れた席にマネージャ風の外見普通の連れのおじさん。
あれ?この人だれ?と思いましたが、最近は映画とアニメ以外のTVをまったく観ないので、声優か映画俳優以外はまったく判らないという偏った知識の人間の為、この人が誰だかはさっぱりわからない。
もしかすると、ただお金持ちのなだけの茶髪のお兄さんかもしれませんが、とにかく通路側の私の席を乗り越えて横の窓際席に座ろうとして、車両が揺れてもいないのになぜかバランスを崩して私のヒザの上に転がりこんで来ました。(笑)でもって、品の良いコロンを付けていたのと、屈託のない素直な笑顔で「ごめんなさい」とすかさず謝ってくれたので、一瞬で許しました(笑)。
最近、ちょいと若めのお兄さんに親近感が沸いて仕方がない、きっと変な中年のおばさんです。

BLCD「夜明けには好きと言って」
福山 潤 : 白坂一葉
吉野裕行 : 金崎新二
森川智之 : 黒石篤成

新幹線の中で聴きました。(もう、とっくに隣の茶髪のにいちゃんの存在は念頭になくて、ヘッドフォンをつければもう自分の世界、たぶんBLCD聴いてるとはばれなかったと思いますが・・・笑)
顔に劣等感があって、何事も上手くいかずにひねくれているうち、交通事故で大けが、顔面の形成手術のついでに整形をして別人の人生を生きようとする一葉。彼女の薦めで面接を受けに来たホストクラブで中学時代に自分をだまして欺いた黒石篤成と再会。恨みを晴らすために彼をナンバー1の座からひきづり降ろそうと・・・

まず、最近あまりBLCDを聴く暇がなかったのと、福山君メインは聴いていなかったので、いつのまにか演技力がアップしている彼の心理描写に、ちょっと感心。上手くなったと思います。思いきり憎まれ役のよっちんにも、だんだんわざとらしい表現が少なくなって、あざとい役まわりなのに、それなりに存在感のある演技をしていて、彼もそれなりに力を付けてきたのねと思いました。(でも結界師はいただけないですが・・・そうか、もう少年役に無理があるのね)
そして森川さん・・・ホストでいるときはばか丁寧でうそくさい程に誠実そう、そして客の前でないときは、朴訥としていて、時にぶっきらぼう、時に素朴。
お話としては、たまにセリフで不自然だなぁというのが数カ所ほど気になったのですが、基本的に人間関係の描写は上手く表現されていて、演技の掛け合いとしては飽きることなく面白く最後まで聴けて、どこかの砂漠のとんでも王子がでてくる傾向の話とは50光年ほど離れていて、素敵な作品でした。
黒石の、あまりの朴訥で誠実男ぶりに、なんだか彼の気持ちが伝わってきて、切なさにクライマックスを待たずに途中で泣けてきて、涙目になってしまいました。それぐらい、森川さんの演技がぐっと来ました。
まったく予想外にやられました。さようならを言う気は・・・と同じ傾向の演技ですが、こちらの黒石の方が朴訥で素直かな?おやじ臭くもなかったですし・・・(笑)いやぁ・・・良かったです。
噂の泣くシーン(福山君がマジ泣き演技の森川さんに初めて遭遇したらしく、とても印象にのこったとコメントしていましたっけ)。森川さんの絶品泣きです。泣きの演技といえば、思い出すのは、映画としてはB級以下レベルの作品ですが「アンブレイカブル」の泣き、そして最近ですと「ブラックダリア」の泣きも良いですよ・・・アニメではスピードグラファーの水天宮さんの泣きの演技には脳天痺れましたっけ・・・あとは・・・
森川さん普段があんな風に本人キャラもアニキ系で男らしい強い意志のある印象を与える空気を身に纏っている人なので、そんな雰囲気の人から泣く場面というのはなかなか想像できないだけに、作品でのマジ泣きのナチュラルな演技には意外性もあって痺れてしまいます。
というか、一途で誠実な男の人が泣くと、女はもれなく全員同情しまくっちゃうと思うので、有る意味罪な泣きです。

つづいてもう一回「公使閣下の秘密外交」を聴きました。

BLCD「公使閣下の秘密外交」
白石智宏:浜田賢二
吉永孝司:森川智之


若くして出世街道をばく進している謎多き美貌の吉永公使に魅せられ虜になって行く新人外交官の白石。
なんと公使は自分の姉の婚約者でもあったのに、二人は後戻りも公表もできない濃密な関係になって行く。
はたしてこれも総て吉永公使の計算なのか、それとも実は想定外の事態なのか・・・

とにかく、先に聴いた作品で森川声が帯びていた朴訥で誠実の権化のような黒石のイメージから180度転身した役所。妖艶な魅力を持ち、高い知性と気品を帯びた立ち居振る舞い、そして冷徹で高潔な美形。
こんなキャラのイメージをセリフ回しの空気だけで臭わせてくれる。
こんな風に、いかにもエリートで家柄も育ちも最初から良い美形の男、という役を演じさせたら、今の居並ぶ男性声優の中でも、森川さんは筆頭格じゃないかなぁ(平川君も品の有る役が似合いますね)。
なんだか声だけで、こんなに高貴なのに腹黒なイメージを沸かせられるのは、有る意味、職人技のよう。
とにかくどこか品があって、とても慇懃無礼なのに嫌みがない、根は誠実なのだという気配までもを、セリフの端々にちらつかせ、それなのにも関わらず、すかさず持ってる牌はまだまだアリますよと言わんばかりの腹黒さも臭わせる、そしてその容姿と空気は官能的でもあり、男も女も両方を魅了し捕らえて堕としこむ力を持つ男、それが吉永公使なのですが、まさにドンピシャです。
一方の新人外交官の白石君役の浜田さん。ドラマCDでは始めてメインで聴く声でした。
青年という存在をすこし研究してきたなっていう感じがします。


まいける2004 |簡易メールシルバーナの船室(コラム)

web拍手↑