三日坊主日記
瑞樹 美霧

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■ 野村萬斎『マクベス』

 定時に上がれるように仕事終わりかけてたのに、『もう一寸時間あるからこれやってしまおう』と始めた受注に時間が掛かり。
 終わったらpm5:38とか(遠い目)。
 一瞬悩んだ。
 ここまで残ったならpm6:00まで在籍した方が残業付くんだけど、そうすると開場時間(pm6:30)ぎりぎりに劇場着いて何か気忙しくなるよなぁ。
 やっぱりそれ以上残るのは止めることに。ホントは勿体無いんだけど、観劇前にばたばたするの性に合わないし。
 んで、塵集めたりやらなんやらしてpm5:45頃、退勤。
 のんびりコンビニにも寄って、劇場へ。


本日のキャスティング
 マクベス:野村 萬斎
 マクベス夫人:秋山 菜津子
 魔女 1:高田 恵篤
 魔女 2:福士 恵二
 魔女 3:小林 桂太


 本日の座席は2階2I列20番。判り易く言うと、2階I列。
 たっけーし、遠いし。幸いドセンが18・19番位だったのでほぼドセンだけど。
 まっったく! 顔見えませんですよ。表情憶測のしようも無いっすよ。声と仕草で感情を推し量ることが精一杯。
 んでもって1列前が座席前通路で柵のある席で。
 私の前に座ってた ねーちゃんズ!! 柵が邪魔に成るのは判らなくもないが、身を乗り出すんじゃねぇっつの! 前屈みになって観るんじゃねぇっつの!!
 まー、見事にマクベスの立ち位置に被り捲りやっちゅーねんっ!! だからってこっちまで身を乗り出す訳にはいかない(後ろの人の迷惑)から見えないままやり過ごしたけど。
 んでだなぁ、2階席ってのもあったんだろーけど、後半入った辺りからどかっ、って何か(オペラグラスか?)を落とす音とか、がさってビニール袋落とす音とか、身動ぎする音とかもう雑音が頻繁に起きる。
 右隣の夫婦の婦の方は上演中だぜ? イキナリケータイぱかって開けて長々何か見てる(メルでも読んでたのか?)し。
 あ、因みに上演は休憩無しの1時間35分ね。

 ……まあ、うん。集中力が途切れるのは判らなくもないけど、一寸酷い。

 ええ、『マクベス』ですから。
 それもシェイクスピアならではな台詞回し(ぶっちゃけ回りクドイ。苦笑)ある程度そのままですから。

 ……マクベスって、すげー饒舌なんだよね。一人で延々喋ってる。悩みや迷いを。勿論マクベス夫人も延々喋るんだよ、悩みや迷いを。

 多分2階席だっていう所為もあるんだろーけど。『飽きてた』んじゃないかな?
 私は知ってて観に行ってるから気にならない(こんなもんだと思ってる)けど、知らない人が観たら、あれは可也きついんじゃないかと。
 長台詞を延々と喋るってことは役者の能力試されるってことだなぁ、としみじみ思ったわ。
 萬斎さんはすげー緩急やら強弱やら揺れやら色々入れて喋ってるんだけど、その技は凄いんだけど、余りにも続く長台詞の山に途中で飽きて来るんだよね。長台詞多過ぎ。
 いやー、あれ、覚えて喋るってのはものすげーことだと。
 私なんかはそっちにもすげーとかって感動出来るんだが……ねぇ?
 兎に角後半は雑音が酷過ぎた。


 さて。『マクベス』、知らない人の為に簡単にストーリー解説。
 勝ち戦の後マクベスとその友人バンクォーは某所で3人の魔女に逢い、未来を予言される。マクベスは『やがて王となるお方』バンクォーは『王を生み出すお方』と。
 『やがて王となる』と言われたマクベスは『王になれればいいなぁ』と考えるようになり、それを察した夫人にも唆され、ある日マクベスはダンカン王を暗殺してしまう。
 そして自分が王となるもその王位は自分の血族に受け継がれずにバンクォーの子孫へと延々続いていくと知り、バンクォーをも暗殺。
 しかし、王を暗殺した罪悪感の上にバンクォーの亡霊にまで脅かされてどんどんと正気を失っていく。
 夫人の方もダンカン王暗殺の片棒を担いだことでどんどんと正気を失い、夢遊病者のようになった後、死ぬ。
 夫人を亡くした後マクベスは全てに投げ遣りになり、ダンカン王の王子に殺される。

 ぶっちゃけると「アンタ王様になるよー」って予言されて調子に乗ったヤツが王様殺して王様になるけど夫人共々狂気に侵されていき最後は復讐される、っちゅー話ね(←身も蓋も無い。苦笑)。


 登場人物は多い筈なんだが、マジに出て来る人は上に書いた5人だけである。

 マクベス夫妻vs魔女達

 という図式らしい。
 なので、魔女役の3人が、他の全ての役を兼ねる。王様とか、マクベスの親友とか、王様や親友の子ども達や、その他の兵士達。全てが3人の男性によって演じ分けられる。
 魔女達によってマクベスの歴史が導かれていく、というような?

 この3人が又巧いんだよ! 一旦照明の当たってる場所から外れたなと思ったら、衣裳はそのままとか+α(上着着たり王冠被ったり持ち物変えたり)で立ち姿とか仕草とかころっと変えて別の人間になってる。
 魔女から兵士になって、兵士から王様になって、とか。いかにも魔女がそれぞれの人間に化けてます、的な感もあり?
 そして背景&セットな大きな布もこの3人がベースではためかせたり裏返したり。

 セットもねー、簡略化されてて、ジャパニーズ・テイスト満載。
 昔に観た蜷川『マクベス』のように完全に日本の戦国時代に移行したものではないし、名前とかも全部横文字のままだし、デンマークやイギリスと戦ってるし。でも衣裳は日本(着物)風。
 矢張り能狂言の世界の人の演出だから早変わりとかもあり。
 セットは丸窓の空いた衝立と、可動式の畳1畳程の囲みの付いた台と、背景その他の表現に用いられる布が数種のみ。
 背景その他の表現に用いられるデカイ布が又すげーんだよ。それはねー、やっぱり2階席の上から観た方がその凄さが良く判るかな。

 秋山マクベス夫人。
 最初夫に王暗殺を唆す辺りは私が元来持っているマクベス夫人のイメージより『何かちょっと弱いなぁ』とか思ったんだが、マクベスが王を殺した後ビビってるのを叱咤激励する辺りなんかは、強かったなぁ。
 んで徐々に狂っていく姿が、すげー。
 ラスト辺りの夢遊病者のように成って徘徊しながら過去の台詞を繰り返すとことか、『血の色が取れない』とか怯えてる所とか、ホントすげかった。
 「あ゛あ゛あ゛」とか低く唸る様に息を吐くトコとか何かが乗り移ってんじゃないかって位怖かった。

 野村マクベス。
 うん。やっぱこの人凄いよねー。
 あの長台詞を飽きないように聞かせるのってすげー大変だと思うんだけど。いやまあ、2階席は飽きたらしい人多かったけどさ;;
 緩急強弱の付け方とか、マジで素晴らしかったわ。
 やっぱり立ち姿の美しさ! それから戦いのシーンの剣舞。舞台中央で仮想の敵と刀や薙刀で戦うからあれは殺陣というよりも剣舞。ホントに美しかったよ。
 そして狂気の芝居……もうすげーとしか言いようがない。


 さて、終演後、『ポスト・トークショウ』があると言うので、居残り。
 『準備が出来るまでお待ち下さい』と言われ、舞台セット片付けたり準備が終わっても萬斎さんが出て来ない。
 隣の席の夫婦の夫の方が「こんなに待たせるんか」とかぼやき始めた頃開演ブザーが。
 そして5分位して普段着の萬斎さんが登場。
 30分程だけど、萬斎さんの『マクベス』の解釈、とか舞台セットが何故こうなのか、とか裏話を披露。
 その中に凄く納得した言葉が、「『マクベス』は能狂言の世界に近い。マクベス夫妻は能の部分。魔女達は狂言の部分に当たる」。

 本編の中で魔女達が「きれいはきたない。きたないはきれい」と言うし、全体的にそういう相反するもの(正と邪とか)が出て来るけれど、その相反するものがあってこそのこの世界だし、能と狂言の関係もそれと同じ。
 現在でも電気を作る為には核廃棄物を生成しているし、そういう正と邪のような相反するものがあってこそ、成り立っている。

 みたいな?
 確かに言われてみればマクベス夫妻は能(苦悩したりする演目)で魔女達には狂言(喜劇)の要素があるなぁ、と。
 だから今回は能狂言的なセットにしてみた、と言うのも凄く理解出来た。


 そんなこんなを30分位色々話して下さって、終わり。
 まさかトークショウがあるなんて知らなかったから、儲けた気分だわ。

 さて帰宅しておかんに早々「萬斎さん、さっきTV出とったで」。
 よくよく聞けば『日本アカデミー賞』観てて、中継が入ったとか? それも『マクベス』衣裳のまま出てたとか?

 ……そっかー、それでトークショウ開始まで結構待たされたんだね……。

2013年03月08日(金)
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