| 2004年10月26日(火) |
和宮様御留(ネタバレもちろんあります) |
私にとっての今公演は、もう打ちあがってしまいました。少し寂しいです。なんだか今回は特にそう感じるのは何故でしょう?早く気持ちを次に切り替えないと、寂しさに押しつぶされそうな気さえしています。それだけこの芝居が好きだったということでしょう。
いつもながら加納さんの場面転換の処理、というのでしょうか、単純なセットを巧みに利用した場面つくりは水際立っていますね。雪之丞や日本橋のセット使いがとっても好きでしたけれど、今回も、下々には想像もつかない深窓で展開されている物語を覗き見るような感覚が好きでした。 私は楽前日のマチネと楽の2回だけを見ました。楽前日は下手端で、ラストシーンの藤さまは全く見えなかったし、舞台中央で演技している時の細かい表情も、あまり見えませんでした。勝光院お目通りのシーンのついたての向こうの宮さまと藤も100%見えませんでした。何回も通って前から後ろから、上手から下手から中央から、いろいろなところに注目して観てみたかったお芝居です。 勝光院お目通りのシーンの宮さんと藤の様子は、宮さんのその後の嘆き様を観るにつけ、やはりどこの席からも観えたほうがよかったのではないかと思います。ついたての素材がもう少し透けているか、ライティングで見えるようにしていただけたらよかったなあ。逆に見え過ぎても、あれじゃ勝光院にも見えるだろう、というツッコミはナシだと思うので。うん、やっぱり観たかったデス。 楽日はかぶりつき中央寄りで、表情までよく見えました。特に泣き崩れる宮さんを藤が慰めるシーンの優しさ。宮さまにしか聞こえない声で「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とささやきながら、柔らかな笑顔で包み込むような姿、うっとりしました。本当の母のようでした。おそらく、乳人と宮さまの関係は本当の母娘のようなものなのでしょうね。だから決して離れられないのかもしれません。 土井と宇多絵の別れのシーンの、宇多絵の頬を次々と伝って顎からポタポタ落ちる涙もハッキリと見えました。あのシーンに違和感があるとBBSに書きましたが、それは原作ではほとんど宇多絵の感情などは描写されていなかったからで、そこに生まれた私の想像の中の宇多絵像と、見せていただいた宇多絵像が、あまりに異なっていたためです。私は、宇多絵は身体のこともあり、もっと感情を押し殺して所在なさげに生きている少女だと想像していました。原作にあったひ弱な鯉のエピソードからそう感じていたのです。土井に対しても父から言われて嫁ぐのであって、あのように明るく健康的な恋愛をしているとは毛頭思いませんでした。ただ、大原さんのBBSに加納さんが書かれた「三人を同じ比重にしたかった」というお言葉には深く納得しました。原作ではあまりに宇多絵の扱いが軽く「え?それでいいの?」という感じでしたから。土井についても、何の感情もためらいも持たずに許婚を差し出したとは思いたくなかったですし。 橘さんは(「いろは」の小平といい)まっすぐな気持ちを表現するのが上手な方ですね。この方の入座は花組にとって大きな財産になったと思います。秋葉さんや綾央さんも花組にたっぷりと根を下ろして、人に心を伝える力が漲ってきたような気がします。演技の比重が大きいストレートプレイで、これだけ人の心を掴める一座になったのも、脇の底力がモリモリとアップしてきたためではないかなあ、などと感じました。(ああ、また生意気なことを書いてしまった。) たくさん魅力的な役者さんがいるので書ききれませんけれど、桂さんも本当にステキ面白い。さすがです〜。34丁目、家族で見に行きますよ〜!(^^) 八代さん、さすがです。ピタリとはまり役でしたね。利発でちょっぴりイジワルな女形については右に出るものはいませんね。 芯の女形、狂気の女形、美形の女形、ピリリと個性的な女形、女武道・・・誰が誰とは申せませんが(笑)各種取り揃えなのが花組芝居のスゴイところです。 原川さん、大好きです。もっと舞台上の役者さんを笑わせてください〜。花組のそんなところも好きですから。お五百さんの正面に幟を持って立っている茄子衣(?)さんは山下さんでしたよ。さすがにあまり笑ってなかったように見えましたが・・・? 山下さんですが、フキに対する厳しさと宮さまに対する優しさのコントラストがいいですね〜。宮さまが藤に頼っているように、藤にとっても宮さまはかけがえのない大切な存在で、それを守るためならどんなことでもできる、母の心境ですね。優しい声がなんとも丸みを帯びて、観ている者まで包み込まれるようでした。 宮様との道行シーンが書き加えられて、二人の関係性が鮮明になりましたね。二人の哀しい心中と強いコントラストを示す、真っ青に晴れた空が目に浮かぶような一コマでした。虚無僧を見るとどうしても子連れ狼を思い出してしまうのですが、案の定、虚無僧は曲者でしたね・・・(涙) 口上後にお雛様たちがひとつの絵面にピタリと決まるエンディングでは、見得を切るように軽く首を動かしてから決まっていたのが、とってもステキでした〜(^o^)
・・・もう静岡に行くための画策を始めます。行きたい。思い出の清水。
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