しているも好きも全部
目次昨日明日MAIL


◆◇検索サイトから来られた方は「目次」をクリック!サーチ機能のあるページへ飛びます◇◆


2004年12月04日(土)  『あそこで、善良でいることは難しいことだったの』/「パシャジェルカ」舞台感想 



…おはようございます。
日曜なのに、土曜の日付でお送りしています。
またもや、昨晩に途中まで書いていたものの、眠気に勝てず途中で眠ってしまいました(汗)
…というわけで、途中まで昨晩のことを言っておりますが、ご了承ください。







東京より帰ってまいりました。
Studio Life「パシャジェルカ」を観に、です。
関西在中の私としては、実際にこうして簡単に日帰りができてしまう状況は、遠いものだと思っていた東京を近くに感じさせるのに充分だったりするのですが、その反面、せっかく万単位の交通費を支払っているのだから、もう少し余韻のある過ごし方もできないものなのか…とも考えてしまいます。

何にせよ、明日も予定があるのでお泊り…ということはできないのですけれど。



さて、新幹線で読書に勤しんでいると妹からメールが入りました。

「剛くん、新しいCMしてるんやな」

…どうやら、『ドンキーコング ジャングルビート』のCMをイチ早く見たようです。
UCといい、ダースといい、何故にそれほどテレビを見ない妹ばかりが先に遭遇するのか謎ですが。彼女曰く

「『素』っぽかった」

ようなので、私も楽しみにしたいと思います。
…しかし、剛さんはいつの間にかいっぱい仕事をしてますね…(笑)




…あと、任天堂って、どこを提供してたっけ…??






「パシャジェルカ」感想


(あらすじ) 

第二次大戦終結から16年。
西ドイツ外交官である夫・ワルターと彼の赴任地であるブラジルへと渡る豪華客船で、リーザは同じく乗船していた一人の女船客に目を見張った。
女船客は似ていた。
夫でさえ隠しているリーザの過去。今では『忌まわしい』と断言できるそれを蘇らせる面影が、彼女を激しく動揺させ、うろたえさせる。

戦中。ナチスの親衛隊に所属し、ある収容所の看守を任命されたリーザの前に現れた一人の女囚。狂乱とも呼べる収容所での、厳しい虐待の中にあっても毅然としていた彼女の名は、マルタ。
リーザは彼女に自分の仕事を手伝わせているうちに、彼女に対して歪んだ特別な思いを抱くようになる。
規律に従いつつ、彼女を虐待から擁護するリーザ。けれど…。

収容所の名前は「アウシュビッツ」。

そこで行われていた闇は、やがては二人を飲みこんでいく。



(感想) 

感想は書いても(あらすじ)を書かずにいることが多かったのですけれども、気まぐれに書いてみました。(笑)…だいたいこんな感じ?
でも、これからずっと書くのかといえば…微妙かもしれません(笑)多分…気がむいたらになると思います。…ああ、こういう所にB型の本性が出ますね…(笑)

さて、THEATRE1010。今回の「パシャジェルカ」が開館記念作品とあって、出来たばかりだという劇場は新しい建物の匂いがして、綺麗で、中々に近代的な作り。
椅子も(小劇場に慣れた身では)普通に座り心地が良かったです。
ただ、今回2階A席だったのですが、最前列の前に、安全の為に作られただろう柵がけっこうな高さまで伸びていて、座ってしまうと柵が視線を遮って、ハッキリ邪魔。座席の並びや配置はA席の割に舞台全体が見通せてとても観劇しやすく、普通にS席にしてもいいんじゃない?と思うほどだっただけに、柵だけがただただ残念でした。

あと、2幕の最中に1階から観客の話し声が聞こえてびっくり。
一瞬、何かの演出なのかと思うくらい、2階の私ですら聞こえたのだから、相当大きな声だったと思います。(何を話していたのかまでは解りませんが…)
…舞台上の石飛さんと客演の内山さんも、びっくりしてたもんな…(汗)


…というわけで、いつものように以下ネタバレです。
見てやってもいいよ〜…という方のみ反転下さい。



まずは重たく難しい話…という印象でした。
「アウシュビッツ収容所」「看守と女囚」というだけで、重い内容なのは目に見えて分かっていたのですけれども、それでも…重かったなあ…(苦笑)
…そもそも、私は戦争関係のお話が苦手…ということもありますけれども。

あと、血の巡りの悪い私の頭では…その…ワルターとブラットレイの言い合いが…半分も理解できなかった…(滝汗)

ただ、この「パシャジェルカ」と先日届いた『曽世海児物語』にあった【横断歩道】のお話とがリンクしました。
言われてみたら、本質的なことはこの「パシャジェルカ」も「横断歩道」も一緒だなあ…と思いました。物事の大小はあるにしろ。


リーザは、ナチスとヒトラーを信じ歪んだ規律を重んじた。
「収容所をキレイにする」という言葉をそのままに受止め収容所の仕事に就き、けれどいつの間にかそれが言葉どおりのことではないと解りつつ、それができなかった。…周りがそうだったから、同じように彼女は振舞わなければいけなかった。…誰に強要されることではなく、ただ、自然に。当たり前のように。

「あそこで、善良でいることは難しいことだったの」

題名にも書いた、リーザの言い分が確実にそれを表していると思う。
そして、船の中でマルタを見た時にあれほど狼狽したのは、あの場所で当たり前だったことは、悪夢でしかなかったのだと、忌まわしいことだったのだと、あの時でさえも理解していたからなのだと思う。

リーザにとってマルタは“アウシュビッツでの罪の象徴”だった。

はじめから…というわけではなく、船の中で居合せてからそうなったのかもしれないとも思う。


そして、あれほど狼狽したのは、“罪の意識”だけじゃなかった
…あの収容所で彼女の心を支配していた、後ろ暗い本音も加わっていたのかもしれない。


ワルターは、リーザはマルタを愛していたと言ったけれども、私は違うような気がする。きっとリーザは彼女に嫉妬したのだろう。虐待の中にあって看守に従順に見えても、誰にも流されず毅然と振舞う彼女を羨やみ、憧れたのだと思う。

恋人である男囚に「くつした」を渡しただけで、さらし者にされ、地面を向いたままだった仲間に
『顔をあげて。空をみあげて』
と言った彼女に。
言下で「決して悪いことをしたわけではないのだから、胸を張れと」と言った彼女に。

…決して妬みなどではなく。


だからこそ、そんなマルタの、リーザにとっては何の気なしにメダリオンを渡した時に見せた、はじめての感情の揺らぎに、そして、そのメダリオンの製作者が彼女の婚約者だったと知った時に、きっとリーザはかつてないほどの快感を覚えたのだろう。

だからこそ、彼女はマルタを擁護した。
マルタを擁護することは、看守と女囚という立場だけではなく、毅然とした心を持つ彼女のその心でさえも上にたつ、ということに気づいたのだと思う。

だから、誰に頼まれもしないのに婚約者であるテデューの間を取り持つような言動をしたり、特別扱いをすることやマルタに有利な話を持ちかけた。
そして、リーザの誘いを断ったタデウシュに怒り、自分にだまって会っていた二人に憤ったのだと。

自分の優越感の保持と良心の拠所にマルタを置いた。
そんなリーザの本音に二人にはとっくにバレていたと気づいても。


一方、マルタはどうなんだろうとも思う。
一人だけリーザに特別扱いされ、難を逃れた彼女。

このお話はリーザの視点で描かれている。…だから、マルタの真意は最後までよくわからない。

同乗した船に乗り合わせたリーザに、ドイツの行進曲「舟歌」を送ったり、決して話しかけることなく、ただひっそりと彼女の後に立っていたり。
…そして、途中で船を降りる決心をしたリーザを追うようにマルタもまた同じ港で船を降りたり。

そして、最後までマルタはリーザに話しかけることはしなかった。


だからこそ、思う。
マルタは最初からリーザを憎んでなかったのではないのかと。

マルタに会った時のリーザの慄きほど、彼女はそこまで思っていなかったのかもしれない。

けれど、マルタにとってもまたリーザは“アウシュビッツの傷の象徴”だったとは思う。自分を思い出してほしくて、ドイツの行進曲をリクエストし、声をかけようとしたけれども、傷は深く。…いやむしろあの看守と女囚の時の上下関係はリーザ以上にマルタを支配していたのかもしれない。自分からは声をかけられない、当時自分を絶対的に支配していたものが、16年の年月に関係なく、未だにマルタの心に残っていたのかもしれない。

自分の命など容易く弄ばれる絶対的な支配者。リーザもまたその一人。


けれど、そんな支配者が自分を見て慄き、狼狽し、震えている。


観劇の最中で、私はリーザがアウシュビッツを思い出させるマルタから逃げたいがために船を降りようとするのと同じ理由で、マルタも船から降りようとしているのかと思っていたのですが、ラスト、断罪を求めるようにマルタの名前を叫ぶリーザに何もなかったかのようにすれ違うマルタを見て、もしかしたら、マルタは“リーザのため”に船を下りるのではないかと思い直しました。

お互いにあの収容所で受けた傷は根深い。だからこそ、あの時のことはお互いになかったことにしましょう…と。

だから、マルタは何も言わなかった。黙って彼女の脇をすりぬけ、船を降りてしまった。


…そして、リーザもそれを理解したのではないのかと。

許されたとしても罪の意識は消えない。けれど、この傷を隠すのではなく、罪として受止めること。…それが彼女の唯一の贖罪なのだと。


そして、リーザに偽善と欺瞞を突かれたワルターもまた、その時に理解したのかもしれない。事実を言葉でこねくり回すのではなく、真摯に受け止めるべきなのだと。
ドイツ人として、ドイツがしてきた罪も。…妻であるリーザの罪も。


曽世さんの言葉が思い浮かびます。

「集団に流され、その結果背負い込んだものを、その後どう受け止め、どう向き合い、未来の他者とどう関わっていくのか。いろんな問いかけが頭を駆け巡る。」


「集団」という蜜は甘く、その安心感から簡単に暴走してしまう。
私達の足下にもある、簡単で深い落とし穴。

問いかけに答えはでないけれど、「自分」を真摯に受止めることが大事なのではないのかと、そう思いました。



…さて、ここまで書いて自分で自分が気持ち悪くなってきましたが(笑)


ライフに陥りがちな「…話、つめこみすぎ」感はなく、船での独言からアウシュビッツでの出来事、そしてまた船へ…という、時間軸の流れに違和感もなくすんなりと進み、暗転の多さもそれほど気になりませんでした。

それに、船でのドレスとアウシュビッツの衣装のチェンジの早替にびっくり!!
確かにドレスの形が変だ…とは思ったのですが(笑)なるほど、この早替に必要な形だったのだと納得しました(笑)


曽世さんは相変わらず綺麗で、美しいリーザ。
どうしてこう、この人の所作は流れるように美しいんでしょう??
元々男性…ということもあるのでしょうが、女性的でありつつ、女性がやるとどうしても嫌味になってしまう仕草がぴたり、と納まるところはさすが!!
リーザの苦悶も、ただの罪の意識の呵責…だけでなくその裏にある戸惑いや苛立ちが伝わってきました。

…それにしても、舞台舞台によってこんなにも雰囲気がかわるのが不思議…。


一方、マルタ舟見くんは大健闘!!
元々、固さが残る演技をしているという印象だったのですが、今回はすんなりとマルタに溶けこんでいました。
タデウシュと再会した時の喜びも射殺された時の慟哭も。…ラストの物言わぬ別離も。マルタの芯の強さも。

「愛する人…」

死んでしまったタデウシュに告げる愛の告白も、全部が切なくて。
良かったです、彼。


石飛さんは…例年になく格好良かった!!
曽世さんと並ぶと、びっくりするほどお似合いで。
ブラッドレイとの蝶々八丁の言い合いも素敵だし、リーザに本音を悟られて青ざめつつも、彼女を理解し受止めるワルターの懐の深さも素敵でした。

…これだけ見ると、素があんなにも「乙女」だなんて想像できないよ〜〜!!
いえ、「乙女」な石飛さんも大好きです、私。すんごく可愛いんだもの。


岩崎くんは、相変わらずカッコイイ!!
囚人服を着ていると、より足の長さが助長されますね(笑)

あと岩崎くんの場合、台詞回しに甘さが入ってしまうので、場面や演目によっては、彼の言いまわしに違和感が残ったりするのですが、今回はハマっていたなあ…。格好よくて潔くて、誰にも流されず、ひたすらにマルタを愛するタデウシュでした。

まあ、惜しむらくは…相手が及さまじゃないこと…(おいおい)
いや…舟見くんはすごく良かったので…ただ単に私の我侭なだけです(笑)


あと、特筆すべきなのは、今回から復帰の青木くん!!
…しかも、演技が上手くなっているのし!!(笑)
青木くんは、「頭の悪い、バカ女」がハマるので(滅茶苦茶、誉めてます)、今回もハマリ役だとは思ったんですけれどもね(笑)


しかし、全体を見て思ったのですが、もし、これが本当の女優さんで演じたのなら…きっと、もっとグロくてドロドロで、とても観にくい作品だったと思うだけに、この「パシャジェルカ」はスタジオライフにもってこないな演目だったなあ…と思います。


面白かった…というのには、話の題材は私の趣味ではなかったのですけれども(むしろ苦手)すごく良かったです。




あと、楢原さんが舞台を観にこられていました。
始めて私服の彼をみて、テンションが上がる、上がる!!

すいません…ただのミーハーになり果ててました(笑)

私は今回で観劇おわり。これからの方は楽しんできていらしてくださいね〜〜!!



My追加

ここは 「ふわふわ。り」様の素材を使用させて頂いています。



「つんづつっづ占い」はじめました。
KinKiの二人と彼等が演じたドラマキャラの占いです。 ネタ・シャレ・気分転換にでもどうぞ