久しぶりに本の話。 あんまり馬鹿げてそうでもなく、サイズも手頃というだけの理由で買った『センセイの鞄』(川上弘美)。まずまず面白かった。通勤の友にはいいくらい。小奇麗によくまとまっているし。 大体恋愛小説はどーでもいー方なので、前半かなりつまらない思いだった。が、途中で主人公の同級生が登場したあたりから、たまたまその人が私の高校時代の隣の席の男子と同姓同名だったために、興味が持てて最後まで行った。(もっとも私の同級生と小説上の男性はまるでタイプが違う。地方の高校でいつもオーケストラのスコアを読んでいた彼は今頃どうしているのだろう?どこかのホールですれ違っているのかしら?) だが、やはり同じ同級生に名前こそ違え、小説の男性と似たような男もいるので、奇妙な気持ちになった。こちらはワインの「くるくる」をして気取ってみるが、それが受けないとおどけて振舞うという小器用なタイプ(わが同級生は大手都市銀行を早期退職し、元相互銀行に再就職)。 実はセンセイに似たような先生(大学)もいて、浮世離れの枯れ具合がそっくり。いやあ、この作品は実はかなりありがちな世界を描いているのではなかろうか。 とにかくほほえましい大人の恋愛小説です。乾いているのがいいね。 ややひっかかったのは、センセイの言葉遣いに、冒頭とそれ以降に差があること。第1章はいかにも先生らしく上から下にしゃべっている。ところが知らないうちに枯れたオッサン化して、キミとはいわなくなって、ずっとツキコさんになる。でも、どうもそのきっかけになるような場面がないようで・・・。もちろん枯れた口調が独特でムード満点なのですが、じゃ、最初のは何なんだ、って気になってしかたない。
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