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『歴史のなかの皇女たち』
2005年05月07日(土)

『歴史のなかの皇女たち』 服藤早苗ほか

ここ数年、女帝論議が盛んだけれど、私たちは女帝について何を知っているのか。また、近々地方公務員の妻となる内親王がいるが、皇室の娘に生まれるということについて、何を知っているのか。

女帝そのものを扱った本は何冊もあるが、「皇女」という括りで、通史的に概観した本はこれが嚆矢ではないかと思う。一般読者のための本で、専門的にならないように配慮してあるが、内容は決しておざなりなものではない。だいたい、おざなりな知識では皇女の本など書けない。上代から近世まで、各時代を専門とする女性の歴史学者が執筆している。 有名なのは『平安朝の母と子』の服藤さんだろうが、他の人も啓蒙的な著作が少ないだけで、実力者揃いと見た。

いやはや、皇女に生まれるというのは大変なことだったんだ、命がけだぜ、というのが、感想の第一。皇女のあり方を通して天皇の政治的位相がわかるなあ、というのが第二。そして、時代時代の皇室がらみの常識が手っ取り早くわかって、何という便利なありがたい本かというのが第三。

挿絵写真たくさん、こんな語にまでというほどの豊富なルビ、脚注大サービス、というところを見ると、素人向けか、と思いがちだが、どうして、どうして、女帝に限らず皇室の女性を考える時に、まず最初に手にとるべき本だろう。いい加減な記述で素人を面白がらせて終わり、というような仕立てではない。これで常識的知識を得てから、この先に何を読むべきかは、本書の引用書目に注意して、最後の参考文献を見ればよろしい。それに、付録の系図や諸一覧表!便利なことこの上なし!

古典文学に関心のある人は読んで損することはありません。現皇太子後の女帝問題で発言したい人は必読文献。

(小学館)
★★★




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