Emiの日記
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読了本『繋がれた明日』真保裕一→→→2008年01月09日(水)
主人公・中道隆太は、十代で殺人を犯してしまう。
相手は、当時の恋人ゆかりにちょっかいを出していた三上吾郎。凶器は、護身用に隆太が持っていたナイフ。
口論が殴り合いのけんかになり、はずみで刺してしまったのだ。

目撃者として証言した三上の友人は事実をねじまげて、一方的に隆太が悪かったと言い、隆太は少年刑務所へ送られる。

自分は悪くない。
自分だけが悪いわけではない。

胸に巣くうそんな思いを抱えながら、26歳になった隆太は、仮釈放される。

六年ぶりの外。
だが、償いは刑務所にいた六年だけで終わりではなかった。

殺人者として生きる自分。
殺人者の家族となってしまった母と妹。
そして、被害者の家族。

隆太は悩み苦しみながら、一日一日を過ごし、一日一日を繋いでいく。




物語は、犯人となってしまった隆太の視点で書かれています。
(三人称で書かれていますが、視点は隆太に固定)
はずみで犯罪人となってしまった人間の苦悩・辛さはとてもよく伝わってきます。

けれど同時に、隆太のせいで人生を狂わされたり、憎しみから隆太に嫌がらせをしたりしてしまった人間の苦悩・辛さも伝わってくるのです。
大切な人を殺された側にしてみれば、殺人犯が生きて再び刑務所の外へ出てくることは許せないと思います。
たとえそれが、はずみであったとしても。

読み終わって、すっきりした気分にはなれませんでした。
隆太にとって良かったな、とは思ったけれど、これからもずっとずっと、加害者と被害者の苦しみは続いていくんでしょうから。

誰でもが、ある日突然、どちらのかの立場になる可能性があります。
ナイフで刺しはしなくても、交通事故で……ってことは、誰にでもありうることでしょう。
そう思うと、誰が悪いとか何が悪いとか、きっぱり言い切れなくなってしまいます。
複雑。
殺人なんて、おこらなければいい。
事故なんて、なければいい。

ちょっと横道にそれちゃいましたか。

この小説は、隆太の生き様を通して、いろいろ考えさせてくれる話でもあります。
重くて暗い話だけれど、読み終わると、しばらく目を閉じて、ラストシーンをイメージし続けていたい気持ちになりました。
そして、タイトルの意味をおもう。

2007年01月09日(火) あはー、もうイヤ
2006年01月09日(月) 三零・執筆状況
2005年01月09日(日) カイコウチュウ
2004年01月09日(金) オキナワ!


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