Emiの日記
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映画「ブロークバック・マウンテン」→→→2006年03月21日(火)
アメリカのカウボーイ同士のラブストリー。

イニス・デルマー(ヒース・レジャー)とジャック・ツイスト(ジェイク・ギレンホール)は、期間限定の羊の見張り役として雇われ、ブロークバック・マウンテンで二人きりで過酷な労働をしいられるうち、愛し合うようになる――。


ゲイ映画だという情報しか持たずにみにいきましたが、ゲイ映画であると同時に深い恋愛映画でした。
ヒースとジェイクのラヴシーンがあるので、男同士の恋愛がまったく受け入れられない人にはオススメできません。
ただ、ゲイを馬鹿にしたような演出は一切ありません。イニスとジャックは、もちろん同性愛であるがゆえの悩みが大きいのですが、それ以外にも異性の恋愛にも起こるすれ違いなんかも描かれていましたし。

前半の若い二人は、羨ましくなるような幸せな雰囲気です。
山奥で二人きりという条件下だからこそ生まれた恋愛感情だったのかもしれませんが、肉体関係をもってしまった翌朝にイニスが「一度限りだ」と言ったにもかかわらず、その夜また二人で一緒に寝ているんですから……。
寡黙なイニスが次第にやわらかな表情をみせるようになり、ジャックは熱い眼差しをむける!!


しかし、山を下りた二人は、それぞれの生活へ戻っていく。
その別れの場面でも、イニスが一人こっそり嗚咽をもらすシーンが印象的。まっすぐに感情をぶつけてくるジャックと違って、抑制型なのよね。


イニスはアルマという女性と結婚して双子の姉妹をもうけ、牧場の仕事も大忙し。
ジャックは、トラクターなどの会社を運営している会社の社長の娘ラリーンと結婚し、こちらも男の子が一人できる。

二人が別れてから四年の月日が流れたころ、ジャックから手紙が届く。
そして、二人は再会。

ここで不運が……。イニスの奥さんアルマが二人のキスシーンを目撃してしまうのです。イニスとジャックは釣りにでかけると言って仲良く出て行きますが、奥さんにはもうバレバレ。


ジャックはイニスに二人で牧場をやろうと持ちかけるけれど、イニスに断られてしまう。イニスの父がかつて同性愛者をむごたらしいやり方で殺し、死体を幼かった息子にみせたのがトラウマになっているから。
二人で過ごしたい気持ちはあるけれど、アルマとの家庭もあるし、父のこともある。


ところが、やがてイニスはアルマと離婚することに。
おそらく、原因はあのキスシーン目撃から続く、イニスとアルマの間の溝でしょう。

ジャックは離婚の話をきいて嬉しそうにイニスのもとを訪れるが、ここでも悲しいすれ違いが。イニスは子供との月一の面会日で、ジャックを追い返してしまうのである。
幸せ気分で車をとばしてきたのとうってかわって、涙ながらにハンドルを握って帰っていくジャック。
満たされぬ彼は、とうとうメキシコへ行って、男娼をかってしまう。


やがて二人が出会ってから二十年くらいになり、年に数回しか会えない苛立ちをイニスにぶつけるジャック。
しかし、そのとき二人の立場は全然ちがってしまっているわけ。
ジャックは会社経営しているのでお金に余裕あり。
イニスは養育費もあるし、あいかわらず牧場くらしなので収入も少ない。夏野間は忙しくて休みもとれない。
温かい季節に会いたいというジャックの希望はききいれることができないのだ。

ここで、若かった二人の幸せそうなシーンが入り、馬にのって仕事にむかうイニスを見送るジャックの瞳と、イニスの乗った車がさっていくのを見送る現在のジャックの瞳が順に映し出される。
愛しいひとをみる眼差しは、年月を経てまったく違うものになってしまったってことがはっきりわかるシーン。
若いときの目は、本当にうっとりしたような熱っぽいまなざし。夜にはまた会えるから、しばしの別れ。
でも、歳をとった彼の目は、どうにもならない現実をつきつけられ、次に会えるのはずっと先といって去っていくイニスを見送らなければならない。

いやー、ジェイク・ギレンホールの目は、大きくて美しすぎ!!



そして、ジャックは39歳の若さで死んでしまう。
電話口でジャックの妻は「道ばたで車のタイヤの修理をしていて、リムが飛んで顔面にあたり、見つかったときには血の海だった」と答えるが、イニスの頭をよぎったのは、同性愛者として迫害され殴り殺されるジャックのイメージ。

ここでのラリーンとイニスの会話、なんともいえないです。
「遺灰はブロークバック・マウンテンにまいてくれ」といわれたけれど、場所がわからない妻。場所を当然知っているイニス。愕然とする妻。
ラリーンとジャックの間にも、まったく愛がなかったとは思えない。妻として、夫の最も愛した場所を知らなくて、「釣り友達」ときいていたイニスがそれを知っているという事実は、厳しいことなはず。

遺灰の半分は奥さんが、半分はジャックの両親が保管しているというので、ジャックの親の家に向かうイニス。
そこでジャックの父の口からきかされる、ジャックの想い。
ジャックは、本気でイニスと牧場をやりたいと思って両親にも話していたのである。
ある春突然、別の男と牧場をやると言い出したというが、それが実現する前にジャックは死んでしまったので、彼の夢はなにも実現しなかったとも……。

ジャックの部屋にのこされた、ハンガーにかけられた二枚重ねのシャツ――。
二人がブロークバック・マウンテンで着ていたシャツを重ねてつるしてあったのです。そういえば、イニスが「シャツを忘れた」とうセリフがあったと思い出す一瞬。

そして、二枚重ねのシャツを持ち帰り、二人は永遠に一緒だと言うイニス。



イニスが同性愛に対してあれほどの罪の意識を植え付けられていなかったなら――もしかしたら、二人が牧場で幸せになる夢は実現していたかもしれない。
比較的オープンなジャックと実に対照的だった。
なんといっても、二枚重ねのシャツよね。
「愛してる」ってセリフがいっぱいなくたって、深い愛は語れるんだなって思った映画でもある。

それにしても、二人のキスシーン、全然イヤな感じがしなかったよ。
むしろ、美しかったよ……。
ジェイクの睫長すぎ。ヒース格好いいし。
なんだか、二人ばっかり、じっと見過ぎました。
二回目みるなら、もうちょっと風景とかみたほうがいいな(汗)
山の風景とか青い空とか、綺麗だったから。



2005年03月21日(月) やっちまったよ


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