Emiの日記
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『奪取』真保祐一→→→2005年02月23日(水)
自動販売機にタイバーツなどをつかって500円玉をかせぐといった小さな悪さをして金をかせいでいた青年手塚道郎は、親友の雅人がサラ金・東建ファイナンスに追われているのを助けるため、雅人とともに偽札作りに手を染める。

札認識機をパスするためだけの見た目には偽札とまるばれだが機会はクリアする札を作り上げた道郎と雅人。だが、そこにヘンテコなじじいが現れ、二人の偽札制作のデータを盗もうとしたところから物語は急展開。

雅人は警察に捕まってしまうが、道郎の名を口に出さず、偽札犯の共犯者は不明のまま時がすぎる。

保科仁史と名をかえた道郎は、じじいのもとで人の目も欺ける本当の偽札をつくるべくはげむ。じじい(彫りの“鉄”)が昔偽札作りをしていたときの仲間の娘・幸緒(スキャナーの神様)も加わり、偽札は順調にできるかに思えたが、幸緒の母の経営する印刷会社が帝都銀行によって倒産に追い込まれ、その裏に東建ファイナンスがからんでいることも明らかになる。

東建ファイナンスとのいざこざの最中、じじいは死亡。印刷会社は倒産。幸緒ともわかれることとなる。

道郎はさらに名を変え、出所した雅人も名をかえ、再開した幸緒と三人で偽札つくりが始まる……



もう出だしからテンポよすぎ。
ぐいぐい読ませる。
語り手の道郎くんが格好イイし、雅人もいろいろあったけど頼もしいし、じじいは最高の一言につきる。
そう、水田のじじいが出てきたあたりから、マジで読むのが止まらない。
偽札作りの細かい描写もすごいんだけど、道郎・雅人・じじい・幸緒、それからラスト金を持ち逃げしてくれた光井、こいつらが生き生きしていて、とっても魅力的。
偽札なんて悪いことじゃん?
でもそれが素敵な世界に思える。
東建ファイナンスとのぎりぎりのやりとりのハラハラドキドキもうまいなあ。
出版されてからもう十年近くたち、いまやお札も変わってしまったけれど、
それでも全く色あせることのない小説。


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