Emiの日記
old day    days list    new day

映画「モンスター」→→→2004年10月08日(金)
 実在の女性連続殺人犯アイリーンの話。
 美人女優シャリーズ・セロンが13キロも太った上に特殊メイクしてるので見る影無し。アイリーンと一緒にいた女性セルビー(実際はティリアという名前らしいが)を演じたクリスティーナ・リッチまでまるまる太っていて、びっくりした。
 まさに二人とも女優魂。

 それはさておき、あまりにも不幸な物語。
 荒んだ子供時代の生活の中で、アイリーンは女優になるという夢を思うことだけが逃げ道だった。しかし、娼婦となり、路上でヒッチハイクしては客をとるうち、女優にはなれないと悟ってしまう。
手元に残った5ドルを使い切って死のうと入ったゲイバーで、アイリーンはセルビーと出会う。
 レズビアンであるがために家族とうまくいっていないセルビー。仕事をせず、叔母の家にいる彼女は、物憂げな表情だ。余談だが、なぜ右腕にギプスをしているんだか説明がなされなかったのが気になる。
 
 夜通しバーで語り合った二人は、そのままセルビーの家へ。そこでセルビーはアイリーンの頬に触れ「綺麗ね」という。セルビーは深く考えずにいったのかもしれない。けれど、その一言はアイリーンの心に深く響いたのだろう。
 絶望のどん底にいたアイリーンは、セルビーと愛し合うことに生きる道を見いだす。

 二人でどこかへ逃げようと誓った日。逃亡資金を稼ぐために客をとったアイリーンは、不幸にも暴行され殺されかけ、客を銃で殺してしまう。
 人を殺し、一線を踏み越えてしまったアイリーンは、セルビーと二人暮らしてゆくため、殺人を繰り返す。
 まっとうな職をさがそうにも雇ってもらえず、殺されかけた恐怖から娼婦としてはたらくこともできず、セルビーには「面倒をちゃんとみてよ」と責められる。
 このセルビーが最悪で、アイリーンが殺しをしているのを知らんぷり。自分が「ビーチに住みたい」といったから、アイリーンがお金をためてビーチで暮らそうとしたのに、あとになって「ビーチに住むって言い出したのもアンタでしょ」とアイリーンに言い放つ始末。
 自分は働かないでおいて、ホテルにずっといるのはまっぴら、と友達と遊びに外へ行くし。
 それでもアイリーンには、もうセルビーに愛されるために生きることしか、考えられなかった。そこが悲劇。

 買春をするような男は悪人ばかりだと殺してきたアイリーンだが、そのうちに、車いすの妻を介護する心優しい警官や、ぼろぼろのアイリーンを心配して面倒をみてやろうと言ってくれた老人なども、殺さねばならなくなり、自分を責め始める。が、セルビーには言わない。
 セルビーはアイリーンに愛される資格のないヒドイ女だが、アイリーンにとってはかけがえのない存在。

 やがて、二人の似顔絵がテレビに出る。
 やばくなったら家に送り返すという約束通り、アイリーンはセルビーを家に送り返す。バスのチケットを買ってやり、いつかビーチで暮らすために、お金をセルビーに預ける。
 そこでついに泣き崩れるアイリーン。
 彼女は、幸せになりたかっただけなのに……。

 よく通っていた酒場にひとり酒を飲みに行き、アイリーンはそこで逮捕される。たった一人、彼女を理解し、「逃げろ」といってくれた老人トムの目の前で。

 アイリーンが逮捕されると、セルビーは保身のためか、警察に協力、アイリーンの犯罪の証言をする。
 
 最後に連行されてゆくアイリーンが映し出され、「勝手にほざいてな」というセリフ。
 あまりにもひどい。


 アイリーンはセルビーと会っていなければ5ドルを使い切った時点で自殺していただろう。セルビーに会ったせいで、連続殺人犯になってしまったわけだ。
 劇中でセルビーのおばさんが「あの売春婦はあなたを利用してるだけよ」とセルビーに忠告する場面があったが、セルビーのほうこそアイリーンを利用していたと思う。
 誰でもいいから、自分を愛してくれるひとが欲しかったアイリーンの心をものにするのは、簡単なことだったんだろう。セルビーは、叔母の家でうつうつと暮らすのも嫌、かといって父の元へ戻るのも嫌、でも自分からは何もしない。とりあえずアイリーンと逃げだし、事態が悪い方向へ傾いてきたら、あっさりアイリーンを責める。私は何も悪くないの、といわんばかり。
 これで神様を信じろっていうほうが無理。
 


mail    home    bbs

Design by shie*DeliEro
thanks for Photo→Cinnamon