アイゾウ

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2021年03月25日(木)
バーサタイル。2



コートを脱げば、弟くんが
ハンガーにかけてくれて、
手を洗っていたらば、
スリッパが用意されていて。
ケーキを食べようとしたら
飲み物は何にする?と
聞かれた。


ミネラルウォーター、
紅茶、
ハイビスカスティー、
カモミールティー。
この部屋で飲んだものは、
全部弟くんが給仕してくれた
ものたち。


ひとしきり食べたころ、
弟くんは言った。


さえさん、お願いがあります
ここに手を置いてください!


私は言われた通りテーブルに
左手を置いた。
そこにふわっと弟くんの手が
重なり、きゅっと熱に包まれた。
私は途端に照れてしまい、
うつむいて顔を隠した。
弟くんは変わらず私に話し
かけてきてくれたけれども、
一気に緊張した私は、空いた
右手でクッションの編み目を
引っかくことしかできなかった。


でもこの動作はなんだか
退屈しているみたいに見える。
まるで髪の毛先をいじるのと
似ているし、きっと弟くんにも
そう伝わってしまうだろう。


気づいてすぐに、私は
クッションを引っかくのを止めた。
退屈しているとは思われたくない。
退屈じゃなくて、次に進みたい。
それが本音だったから。



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