めめんと森
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2014年02月16日(日) 壊れゆくカラダ

小林カツ代さんが亡くなった。

初めて買った料理本はカツ代さんの著書で、肩の力を抜いて料理を楽しむ姿勢に溢れていて私のバイブルだった。
偏食の酷い夫と結婚するまでは。
あれ食えない、これが苦手、とキャパを狭めて生きている人の前では、どんな素晴らしいレシピも何の役にも立たないのだ。

まともにおさんどんの出来ない夫に料理を覚えて欲しくて、ご子息のケンタロウさんの本も買った。
手に取ってパラパラと眺めて
「へぇ」
と気のないリアクションをした夫が、その本を見ながら料理をすることはなかった。
そしてケンタロウさんはバイクで事故に遭い、意識が戻らないままだ。

カツ代さんもくも膜下出血で入院してからずっと復帰が叶わなかった。
息子さんがそんな状態で病院に居ることも知らなかった、と聞いている。
本当にそうなのかな。
息子は何故顔を見せないのかな?って意識のどこかで思っていたかもしれないと思う。

いろんな著名人がこの世を去るけれど、小林カツ代さんの死はなんだかひたすらショックだった。

ちょうどその数日前、指の第二関節あたりに、覚えのない青あざができた。
内出血している。しかしそんな場所をぶつけた覚えはない。変だな、と思ったが、次の日に謎が解けた。
重い食器を食洗器に並べようとして指先に力を入れて捻った時、今度は人差し指の第二関節の下あたりにパチン!というような刺激が走った。
仕舞い忘れた包丁が刺さったのだと思った。そのくらい痛かった。
しかし外傷はない。代わりに痛みのあった場所にみるみる内出血が広がっていくのが見えた。

細かい血管が、破裂したようだった。痛みと、こんな事が起きるのだな、という驚きで暫く茫然とした。
弾けるように破れた血管が、もしも脳の中のものだったらどうなったんだろう。そんなことをふと考えた。

肉体の衰えは年を追うごとに感じるけれど、ここ数年特に皮膚や粘膜の衰えっぷりが酷い。私の身体は確実に急速に老い始めているのだな、と思った。血管だって、見えないけれど衰えているのだ。

遅い出産でまだ手のかかる子どもを追い掛け回していると、自分の老いに鈍感になる。でも確実に身体は衰え出している。お婆ちゃんになったら、毛細血管の一か所や二か所弾けたくらいは平気になるだろうか。


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