けろよんの日記
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2016年01月09日(土) 【私見百人一首】夏すぎて


春すぎて夏來にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山 
                                   持統天皇


天智天皇皇女であり、天武天皇皇后であり、女帝であります。

ものすごっく、爽やかなお歌です。
ぱーっと晴れ渡った夏空、山のふもとに真っ白い衣が干してあるのが
見えます。お洗濯日和です。
親子して、世間の一般的イメージとは真逆の歌でございますね。

 かの人を有名にしたのは何と言っても里中満智子大先生の
「天上の虹」。 OSKで舞台化もされたんですよね。見てないけど。
あたかも坂本龍馬と司馬遼太郎のような…。

そういえば連載当時は「あさきゆめみし」も同じ雑誌に掲載されていたような…。
ものすごい豪華版雑誌です。
またこの2つのおかげで日本史に興味を持つことが
できたということで学生には実にありがたい作品です。
(田舎のおぼこい女子高生のヰタ・セクスアリスへの興味もほどよく満足させていただいて)

いつもながらウィキペディア様にお伺いすると、
持統天皇を主人公にした小説が紹介されてまして、
タイトルが
  「妖の女帝」「炎の女帝」「鉄の女帝」などなんとも強そうなイメージですね。

 持統天皇を語る上で、(っても語るほど知らんのですが)
「天上の虹」は外せませんが、やっぱり里中作品は人間臭い。
 ほんとに人間臭い。
生真面目で努力家で頑張り屋さんだけど、内面では悩みまくり揺れまくり、
 しかし、その悩みを意志の力でねじ伏せて傷つきながらも進んでいく。

 なのに回りの人間からはその頑張りを揶揄されたり非難されたりする
ふんだりけったりです。(他人にも厳しいしそれを求めたりもしてますが)

 この物語から思い浮かぶのがその昔より男社会に男性と伍して働こうとしてきたお姉さま方です。
 具体的な想像のモデルになる方はいらっしゃらないのですが、
 きっとこんな感じであちこちにぶつかりながらお仕事に邁進されていたのだろうなぁと。

 天上の讃良を見ていると本当に痛々しい思いに駆られます。
最終巻は読んでいないのですが、亡くなるときにどんなことを考えておられたのでしょうか?
でも、きっとやりきった という思いに後悔はないかも。

 別作品での持統天皇というとやはり長岡良子作品の持統天皇。
こちらは、その内面を吐露するシーンはあまりないので、慈母的、
ゴッドマザー的 イメージが残っています。

 大和和紀の「天の果て、地の限り」だと若い頃にちょっとだけ。
実は一番好きなイメージはこちらの讃良嬢。
 皇女としての自負を持ちつつ、そのプライドにあった自信
(きっと背後の努力) とフェアさが感じられて、
額田王に宣戦布告するシーンなどすがすがしい印象です。

「天智と天武」はDISCASでお取り寄せしたので今から読むのが楽しみです。

 最後になりますが、実は本当に紹介したかったのは

「朱鳥の陵」坂東眞砂子 かも・・・(;^ω^)

 ここに出てくる持統天皇は権力の権化、正に怪物というに
ふさわしいものです。
目的は違うかもしれないけど、よしながふみ「大奥」の治済様を彷彿させます。

「夏すぎて…」の歌、え”? こんな解釈が??? 
こ、、、怖い、怖すぎるよー。

 と思いました。内容はネタバレになってしまいますが。
「ホントは怖い百人一首」とタイトルをつけられそうです。
怖がりじゃない方はどうぞ〜。


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