オヤユビアザラシ。
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「絵本の中の男の子も昔よくしてくれた友人も 先に何処かへ行ってしまった。 結局俺達残された人間てのは、 ずっとその残り香、つまりドブの匂いとかだ、 そういうもんに苦しみながら生きる以外ないんだろうと思うよ」
静かに話すあの人の爪先を眺めながら、 愛情とか憎悪ってのはいつか風化するけど 喪失感だけは徐々に緩和されていくことなんて実は決してなくて たとえ形は変わっても同じ重さのまま その人の中に在り続けるんだろうと なんとなく考えていた。
すごく古典的ではあるけど、 誰かの中に自分を植え付けるために 一番手っ取り早い方法であることは確かで、 私が岩井俊二の「リリイシュシュのすべて」を いつまでも忘れないのはつまりそういうことで、 だからああいう映画が撮りたいと思う。
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