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2004年07月11日(日) 母と会う

母が「化粧品を買ってやった」
というので、仕事前に会って、いっしょにお昼を食べる。

娘が気になって、
化粧品を買ってくれたり、
いろいろ物をくれるのは、ありがたいと素直に思う。
でも、あの毒舌には、本当に疲れちゃうな。

実家にいた時、本当によく言われたのは
「世間体」という言葉だった。

地元の公立から、県内でナンバーワンの女子校に進み、
そこから女子大へ。
マスコミへそのまま就職した私は
母の自慢だった。
今は見る影もないのだけれど
10代終わりから20代、結婚する前までの
実家にいた私は確かによく手入れされ
外からみたら、立派なお嬢さんだった。
(それでも、結婚するまで、殴る蹴るは続いていたのだけれど)
家の前に、男の人の車がとまって待ち伏せしていたり、
就職したあとは、違う課の人から
いきなり釣書とともに交際の申し込みが
実家に送られてきたり、していた。
親の期待は、相当大きかっただろう。

私が夫と知り合ったのは、バイト先。
「養われている身分で学生が酒などもってのほか」
と言われていた私は、結局学生時代には一度もコンパに参加せず。
学内のサークルで活動し、終わったらダッシュで帰る生活だった
(母が、帰る時間を測っていた)
バイトは、自宅付近の塾か家庭教師に限定されていた。

それでも、一度だけ、大学に入った夏休みに、
いわゆる普通のバイトをした。
母の友人が人材派遣業を興し、それに登録させてくれないか、
とたのまれたのだという。

渋る母であったが、友人の顔を立てて、一度だけ、
ということで、私は赤坂の宝飾店に、バイトに出た。
そこに出入りしていたのが、今の夫。
ひとまわり以上離れていた夫は
高校卒業してまだ半年の私を見初め
そのまま、つきあいが始まった。

学校やサークルが終わるとダッシュで帰るため
ほとんど毎日、車で大学に迎えにきて
家まで送るというのが、デートのようなものだった。

今考えると、このころからいい年して
暇だったんだなあと思うのだけど、
そのころは、優しいんだなあ、などと思ってた。

ずっと内緒で交際していたけれど、
大学卒業して半年後くらいにばれて、大騒ぎして
母の攻撃に耐えかねて、家を出てしまった。
そのまま結婚。今に至る。

結婚して13年、
ずっと実家には意地があって、
大丈夫大丈夫、私は幸せだから、
夫もちゃんと働いているし
私が働いているのは、趣味みたいなものだから、
と、虚勢を張り続けた。

でも、ヒロとのことで夫が大暴れして
実家に、私のPCから見つけ出した
私とヒロとのやりとりもすべて、送った。
セックスに関するものも、すべて。
(ちなみに、近所のママ友達にも、私の学生時代からの友達にも)

張りつめていたものがぷっつりと切れて
もう虚勢をはることもなく
ただ、私はじっとしているしか選択肢はなかった。

母は、私を、みじめなヤツだという。
結婚前の姿とは遠く衰えてしまった私を(40近いんだから当然と言えば当然)
みっともないから、実家には呼べない、と。
そんな姿で、こないで頂戴、
うちには入れられないわ、と言った。

もう、そんなことも慣れてしまっていたから

安心して、行かないから、とにこ、っとしたら

いや、そんなことはないけど、とあわてていた

もうかれこれ、実家には、10年近く寄っては、いない。

でも、自分のことを、みじめだと思いたくは、ない。

精一杯、私は私なりに、頑張っているんだけれど、ね。と言ったら
泣きそうになってしまったから、涙がこぼれないよう、あわてて、上を見た。





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