僕と君と世界の距離を

2010年05月17日(月) 君の見える世界が真っ暗だったら私はとても哀しい

以前、関わった広汎性発達障害の子が、
今、中々学校に行けずにいるという近況を知りました。

ああ…。
すごくせつない気持ちでいっぱいです。

発達障害というのは、簡単に言うと、
コミュニケーション障害のような感じで、
社会(集団)に適応することが難しく、
人との関わり方に障害のある症例です。
※すごく簡単に書いてあります。

共感しにくいというか、
人が今何を思っているのか、感じているのか、
ということを想像しにくく、
人に合わせて行動するのが苦手
(合わせるのはすごいストレス)だったりします。
「自分勝手なヤツ」とか思われがちです。

実際、対面してみると確かにきついです。
言っていること、やっていることは
単に我侭のように感じるし、
その場にいる皆がこうしたいなーと思うことを
真っ向から否定してきて、
できなくなったりすることもあります。

調和を愛する人は、
きっと彼が嫌いです。

彼は人の輪を乱し、
みんながしたいことを壊します。

彼がいなければいいんだろうか。

実際、彼がいなかったらすんなりと
やれたことがたくさんあります。

正直な思いとして、
あー彼がいなければこうできたな…と、
思った瞬間がたくさんありました。

でも、彼の苦しさに触れた時、
そういう想いがふわーと消えていきました。

その時、彼はこの「彼を受け入れない世界」を、
どうにかしようと、どうにかやっていこうと
やり方もわからないまま、真っ暗手探りのまま、
小さい身体をもっと小さくして、自分の手を
ぎゅっと固く固く握り締め、
じっと、じーっと堪えていました。

たった10歳の子が、そんな暗闇に耐えている。

そう思うともうそのことが哀しくて
苦しくて涙が出てきました。


誰にでも、出来ないことがあります。
誰にでも、自分の中に
どうしようもなく欠けている場所があります。

だからこそ、他人が必要なんです。
補いあいながら、助け合いながら、
感謝しながら、生きていく。

そういう風に、
まだ彼は思えないだろうと思いました。

彼は、つらい。
彼は生きるのがこんなにもつらい。

それでも、あの時。

彼が留まって、なんとかしようとしたのは、
周りにいた全員が、「彼と一緒に何かをつくる」
ことに対して前向きだったからです。

その場にいた皆が、
彼の持っている魅力を認めて、
一緒にやりたいと、
無理やりな想いでなく、
そう思っていたからです。

だから、彼は逃げずに、
なんとかしようとしたんです。

彼はこれから、まだまだ暗闇で
手探りで戦わなければなりません。

人の中に、
自分の居場所を見つけなくてはなりません。

そして、自分を愛さなければなりません。
※傍目にはわかりづらいかもしれませんが、
そういう子供は得てして自己肯定感が低いです。
褒められる経験が少ない上、自分が良いと思って
したことを否定されることが多いため。

私は本当に何も出来ない。

何も出来ないけど、彼の世界が真っ暗で
苦しいだけだったら私もそのことを思って苦しい。

哀しいんです。

これは、とても身勝手な想いです。
我侭です。分かっているけども。
願うばかりしかできないけども。

自分で掴んでくれ。
世界への取っ掛かりを。

そしたら涙と鼻水をいっぱい垂らしながら
力いっぱいハグしにいくから。


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