スイス日記
もくじカコミライ


2004年12月13日(月) 新しい職場への不安

日本人は、みんなそこそこいい人である。
みんな悪い所もいい所もあるけど、みんなそこそこ、平均よりちょっとずれるかっていうところがいくつかあるぐらいで、基本的にいい人だと思う。
でも、外人は違う。
いい人もいっぱいいるけど、アクが強い人は本当にアクが強い。
そして、アクが強いまま、無視もされずに、みんあまああいつはアクが強いからと許容し、そして、そのまま生き残れる。
ジニーなんて、日本で育てば、かなりのいじめにあい、ずーっと村八分で生きて行かないといけない運命だろうと思うけど、こっちでは、嫌われてはいても、それでも、許容する人たちもそれなりにいて、彼女も普通に生活している。
そういう土壌で、みんなから嫌われ、相手にもされずに、でも生き延びてこれた人がうちのボスである。

本来、彼は悪い人ではないと思う。
ただ、人とのコミュニケーション能力が異様に低いだけなのだと思う。
彼は人がどうやったら自分のために動いてくれるかということが全くわからない。
給料をもらえるのは誰のおかげだ!
お前は俺の部下なんだから俺のために働いて当然だろ!
彼が人を動かすために使う手段はたったのこれ2つである。
もちろん、これは正しいと思う。
でも、正しいからといって、こんなお題目だけでは働けない。
しかも、これだと、彼から給料をもらっていない人、彼の部下でない人は全く彼をヘルプしてくれない。そして、もちろん、実際に彼は誰からのヘルプも得られない。

私は今までの仕事の仕方として、自分が専門でないことはいろんな人にヘルプしてもらって、いろんな人の知恵を使ってやり遂げるという方法を使って来た。
はっきりいって、これは女の仕事のやり方かもしれない。
男の人は、プライドが高いから人にきくのをすごく嫌がるし、私が女だったから、いろんな人が助けてくれた(おじさんは何も知らない女が大好き。うんちくを語れるから。)という面もあったと思う。
でも、今まで成功してる数少ない女の人を見てると、みんなこの方法を取ってると思う。
同年代の男たちは、女の子は自分で何にもやらずにうまいことやるとかってたまに陰口をたたくけど、コーディネーター能力も重要な要素の一つだと思う。

でも、ここでは、その方法が取れなかった。
人は普通、あの人に恩を売っておけば、のちのに返ってくるという相手でないと助けない。
内のボスは、他のボスに対しても、あいつはあんなに無能なのに俺は仕方なくあいつと友達でいてやってるんだから、あいつに何を要求してもいいはずだという独自の理論を持っている。
従って、当然ながら、私たちは他のボスからのヘルプを受けられない(笑)
彼は嫌だと言ってますとボスに伝えると、あいつと俺は友達なのになんであいつはそんなこともしてくれないのか!ってめっちゃ激怒してたけど、これってほんとジャイアン理論。
ボスが友達になってやってると勝手に思ってるぐらいで(しかも相手を見下しながら。)、だれも助けてくれるはずがない。

うちのボスは天才である。
天才は世界が閉じていても、自分の頭の中だけで何かを生み出せるのだと思う。
でも、私は天才ではない。
彼に巻き込まれて、閉じた世界に閉じ込められてしまうと、本当に何もできない。
私は自分の頭の中からだけではなんにも生み出せない。

最近、何が間違っていたのか、しきりと考える。
なぜ、彼のために働きたくないのか?
この答えは、彼のために働くことが自分のために働くということと矛盾するからだと思う。
自分が学びたいことを他の人から学んでいけない、新しいことを学ぼうとするととことん邪魔される、成功したらボスの手柄、失敗したら私のミス。
それでも、お互いの間に信頼関係のようなものがあればやっていけるかもしれないが、彼は自分以外の誰も信用しない。

彼は天才である。
せめて平均以下でもコミュニケーション能力があれば、すごい成功を納めたのではないかと思う。彼の能力からすると、彼の成果は本当に効率の悪さを反映していると思う。
私は天才ではない。
だから、天才のやり方を押し付けられても何もできない。
ここでは、全ての感情を殺して生活のために、給料のために、ボスに合わせてイエスマンになるか、ジュニアスタッフのように、ここ以外がどんなのかを知らず、こういうものだと思って適応するかのどちらかしか道がない。
そして、私にはそこまでのお金に対する執着心(だって、嫁も子供もいないからね。)もなかったし、今までの経験を全て忘れて無になるという適応力もなかった。と、いうか、ここの方法に慣れるのが恐かった。他の場所ではここのやり方は通用しないから。

さて、新しい職場。
これから、ノーマルな職場にまた適応できるかしらとかなりの不安がある。
ボスにそれなりのコミュニケーション能力があったとしても、苦労のない仕事なんてない。
前の職場では、男社会のやり方に慣れるのに本当に苦労した。
あの事なかれ主義になれることができずに、最初は、うるさい女だとボスから煙たがられた。
大体このボス(彼は女を本気で使うと宣言しているし、女に理解のある方だと思う。)にしても、同期や後輩4人の女の子の内、二人も出社拒否のようになり、途中で寿退社をした。それぐらい、社会は女に厳しい。
だって、大学までいかにも平等っていう風になってたのに、社会に出たとたん、男のルールではこうだ!ばっかりなんだもん。
女の子専門のアシスタント職のようなものについてる限り安泰だけど、一旦男と同じ土俵に乗ると決めると、男は容赦なく女を排除しようとする。
いつも見下されているし、女のやったことは甘いという先入観と戦いながら、しかも男のルールに乗っ取って仕事をしてくことがどんなに大変か。
しかも、上司は全員男である。おばちゃんはいてもみんな何の権限もないし、同じ土俵ですらない。

今度は女のボス。
男の同僚は、女のボスってきいただけで、みんな顔をしかめてうえーって言う。
女のボスは女のボスでまたいろいろあるんだろうーなー。
また未知の出来事に対処していかないといけないわけね。
不安ばっかりだけど、がんばらないと。


もくじカコミライ
カルージュ |MAILBBS
ホームページランキングネット