ゼロノオト

2005年04月01日(金) よいこのチャイム

夕方、いまの時期だと5時に鳴る、「よいこのチャイム」というものが

むかしからこの街には流れていた。

夏は6時、冬は4時半、春秋は5時に流れるそのチャイムを、

私はここに越してきた小学校低学年の頃から聞いて育った。

「ちゃんちゃらんちゃらら♪外で遊んでいる、よい子のみなさん♪

もう、おうちに帰る時間ですよ♪ちゃんちゃらららら

事故などにあわないよう、みんなで気をつけて帰りましょう♪ちゃららら

あしたもまた、元気に遊びましょう♪ちゃんちゃらら・・・」

こどもや親はこのチャイムを目安にしていたし、

小学校高学年にもなると、「悪い子だからまだ帰らない♪」

なんて言いながら、夕方と夜に挟まれた貴重な時間を過ごした。

もっと大きくなると、その時間に地元にいることも少なくなったりして、

こんな春休みなんかに週に何度も聞いたりして、

あぁ、もう少ししてこの家や街を出て行ったら、たまに帰ってきたとき

こんななんでもないチャイムなんかが、とてつもなく懐かしかったりするんだろうな、

なんて思ったりしていた。

ほんとうに2、3日まえにそんなことを思っていたもんだから、非常に驚いた。

そのチャイムの音楽が今日から変わってしまったのだ。

驚きのあまり部屋を飛び出して母に知らせに行ってしまったくらいだ。

もうあのひび割れたような音質で、

近くにあるスピーカーと遠くのスピーカーからディレイして聴こえてくる、

「あの」チャイムは、聴けなくなってしまうのだ。

聴けなくなってしまったのだ。

新しいチャイムは、まるみを帯びたような音質で、確かに聞き取りやすくなったかもしれない

けれど、耳慣れない新しいメロディの、よその物、という感じはこの先もぬぐえないだろうな。

にこにこぷん世代が、ドレミファドーナツを懐かしめないように。

(ドレミファドーナツは中学生のころ部活がない日なんかに見たりもした

から、ある意味懐かしくもあるけれど)

チャイムひとつでこんなに衝撃だったことに衝撃である。




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