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2006年09月24日(日) 東京“カワイイ”戦争

NHKスペシャル 「東京“カワイイ”戦争」。
面白かった。

東京のファッションを巡る戦争。

ターゲットの若い女性の意見をダイレクトに取り入れる
渋谷109の二十歳のデザイナーと、徹底的に自分の美意識に
こだわる“ベテラン”デザイナー・コシノジュンコ。

この2組の考え方が全く相反するもので、
「マーケティング優先」か「アイデア主導」かの違いに見えた。

109では、1週間も経てば「今」のトレンドは古くなっているらしい。
たった1週間で消費され、新しい「今コレ」に容赦なく移り変わる。

二十歳の、お客と変わらないギャル風のデザイナーは、
渋谷の女の子たちから意見を集めて速攻で韓国の工場に発注。
そして出来上がったサンプルに対して
「もっとかわいいボタンがあるから今から替えたい」と言った。
が、オーナーから「そんな時間はない」と一蹴され、
そのまま5日後には店頭に並ぶことに。


「マーケティング重視でただただコピーするだけのデザインが
ビジネスでは成り立つんでしょうけど、絶対に続きはしないです」
と、コシノジュンコは今のファッション業界に警鐘を鳴らす。
コシノ氏なら、ボタンひとつにも徹底的にこだわり抜くだろう。
そのために1週間、1ヶ月、1年を費やしてでも。

だけど、今いちばん元気なのはパリでもN.Yでもなく
東京の女の子たちで、109的なスピード感も無視できるものではない。
リアルな服は、ショーではなく街を歩くものだから。

すでに闘いの舞台は店舗からケータイへと移りつつある。
大きなうねりの中で、服のボタン1個にこだわることがどれだけの
意味を持つのか。そのこだわりを見失う作り手はきっと多いと思う。
でも。

何かをつくる人間が隙あらばこだわるのは当然のスタンスで、
さらにスキマを見つけて、それを実現可能なカタチで入れ込む。
じゃないと持たない。自分が。

あの二十歳のデザイナー自体がただ消費されて終わるのか、
それとも過酷な戦場で生き延びるのか。がんばってほしい。




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