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2006年02月06日(月) 造語

小泉首相という人は広告の名手だ。
と、言われている。

「感動した!」だの「ぶっ壊す」だの。
口がすべった「人生いろいろ」も広告っぽい。

そこでこのニュース。

小泉改革の結果として「勝ち組」と「負け組」の
二極化が進んでいるという批判に対抗するため、
小泉首相や猪口少子化相が「待ち組」という言葉を使い始めた。
(読売新聞)


「待ち組」。どうでしょう?
意味は、フリーターやニートなど「挑戦しないで
様子をうかがう人」を意味する造語(新聞記事より引用)だそうだ。

猪口氏とやらは1月31日の記者会見で、
「『負け組』は立派だ。その人たちは戦ったのだから。
本当に反省すべきは『待ち組』だ」と述べて、
フリーターらの奮起を促した(新聞記事より引用)。


うーん。
これは首相サイド(首相の後ろには名ライターがいるという)が
発案した言葉なのか?それとも猪口ナントカ大臣発なのか?

そして負け組ってものがあるとして、立派?
いつからスポーツマンシップにのっとった?
戦いって、何?

こういう疑問をあげると途端にしゃべり場っぽくなるが、
やっぱりピンと来ないので考えてみる…何に違和感を覚えるのか。

どうも、「待ち組」という言葉には後ろめたさがない。
「様子をうかがう人」なら、虎視眈々と狙っているようでもある。

そもそも待つってのは、そんなに悪いことじゃない。
「果報は寝て待て」とも言うし、待つことはいくらでもある。
釣りとか。渋滞とか。告白の返事とか。便意とか。
待ってる間はしりとりでも読書でもしていればいい。

じゃあフリーターは何を待っているんだ?
ニートは何かを待っているのか?
何かを待っているふりをしている人の方が問題だと思うけど。

結局のところ、
言葉に振り回されて、いろいろ混同してない?
というより、かく乱させようとしてない?

先述の猪口氏の発言、「『負け組』は立派だ」。
これが言いたかっただけで、その後がズレている。
自分の都合で勝手に妙なキャラ増やすなよ。

「無知組」「抜け組」「負けるが勝ち組」。
裏でいろいろ検討される光景が目に浮かぶ。


「感動した!」「ぶっ壊す」「人生いろいろ」は
わりと賞味期限の長い言葉だった。傷みにくい。
それは、無理矢理ひねりだした造語じゃなく生の
小泉純一郎の声(としてのコピー)だったからだ。

造語はいずれ恥ずかしくなる宿命にある。
そんな「発言」で誰かが奮起するのかな。
クールビズ以降、この国は何か勘違いしている。




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