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2005年12月01日(木) 黒い塊

血は、空気に触れるとすぐに凝固する。
出血を最小限に防ぐ効果と思うと、人体ってすごい。

今日も会社で鼻血が出た。

大学ならともかく会社で鼻血は物騒だと思い、
天井を見つめながら黙って血が止まるのを待った。

鼻の中がかさぶたでカチカチになってくる。
あぁ息苦しいなぁ…なんて思っていたところ、
隣で社員さんとアルバイトのNさん(共に女性)が
机を挟んで立ったまま仕事の打ち合わせを始めた。

何となくふたりのいる方向に顔を向けたまま、
ぼくはキーボードの手を休めて深いため息をついた。
「ふぅ」。次の瞬間。

ぽーん

と、黒い塊がNさんたちのいるど真ん中に発射された。
ぼくの鼻から。それは赤を通り越してすでに黒かった。

冬の乾燥でミイラみたいにひからびていた。
落ちた先が紙の上だったためカサカサと音まで鳴った。
Nさんたちの会話も一瞬固まった。

違うんですこれは血なんですぼく鼻血出てたんです
…言えなかった。何も言えなかった。

こんなことなら最初から騒いでおくんだったよまったく。




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