ひとりごと
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昼過ぎに家を出て、駅前で母の車に拾ってもらい、 妹や姪たちと一緒に祖母の家に向かった。 3年前に新しくなった母の実家のドアを開けると賑やかなざわめき。 もう叔母たちも集まってきているのだった。 95歳になる祖母はピンクのセーターを着ておだやかな笑顔で座っていた。 今日は、祖父の命日。 もう23年になる。
私は庭から摘んできた水仙の花束を仏壇に供え、手を合わせた。 小さな姪たちが、続いて手を合わせた。 「この写真の人は、ママのママのパパよ。」と教えた。 彼女たちは不思議そうに、会ったことのない曽祖父の写真を見つめた。 あらためて見ると、祖父はまだ若々しかった。 亡くなったときには、すっかりおじいさんだと思っていたのに、 今の私の父と、そう変わらない年齢だったのだ。 厳しい恐い祖父だったけれど、写真の中ではほがらかに笑っていた。 優しく私たちを見てくれていた。
やがて4番目と5番目の叔母も到着して、みんなそろった。 荷物を置いて、みんなで歩いて近くのお寺にあるお墓に向かった。 「まるで春みたいねぇ。」 「ほんと、暖かくて気持ちがいいわね。」 祖母を囲んで、母たち5人姉妹ははしゃぎながら歩いた。 お墓に供える花を持ち、手をつないだり、肩をくんだりしながら、 少女のように賑やかに笑いながら歩いていた。 先を歩く私と妹は、時々祖母と叔母たちを振り向いて見た。 「仲がいいね。」 「楽しそうよね。」 私たち姉妹も嬉しくなった。
お寺は静かで明るく静かだった。 紅梅がよく香っていた。 お墓を掃除して、持ってきた新しいお花を供えた。 たっぷりの水で清められて、お墓は気持ちよく光った。 暖かい陽射しを背中に感じながら、順々におまいりをした。 みんなそれぞれゆっくりと、祖父と話をした。
立ち上がって空を見上げると、今までまぶしいほどだった太陽が 薄い雲の向こうに隠れ、雲は虹のような色に染まっていた。 雲の隙間から、日の光の筋がまっすぐに降りてきていた。 「天使のはしご。」と私が言った。 「なに?」と、ひとりの叔母がたずねた。 「あの光、天使のはしごって言うのよ。」 「本当、天使のはしごね…。」 不思議と厳かな気持ちで、みんなで空の光を見上げた。
お寺からの帰り道も、また腕を組み、笑いながら賑やかに。 行くときとはまた違った清々しさがあった。 姪の小さい手を握りながら祖母や叔母たちを見て、 私たち4人姉妹と母の未来を見たような気がした。 あんなふうに、元気で仲よく、支えあいながら年を重ねていけたらいい。 いつかこの姪にも、憧れてもらえるような。
祖母の家で、叔母が作ってくれたお料理やケーキをいただいたあと、写真を撮った。 祖父の写真を抱いた祖母を中心に、母たち5人の姉妹が華やかな笑顔を並べた。 みんなとてもきれい。 とてもいい家族だったのだと思う。 写真の祖父も嬉しそうに笑っている。 私は丁寧にシャッターを押した。
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