ひとりごと
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パンの香り 2005年01月17日(月)

カンカンに熱せられたオーブンの中の小石にさっと水をかけた。
じゅー!と言う音とともに、もうもうと立つ白い湯気。
それを逃さないように、すばやく熱い天板を引き出してパンの生地を乗せ
すぐに押し込んで、パタンと扉を閉める。
庫内の温度が200℃まで下がったら、タイマースタート。
あとは35分後の焼き上がりを待つだけ。

今年最初のパン教室は、このステップでの最後の授業だった。
メニューはフランスパンを2種。
生地の作り方も、成型の方法も、焼き方も、
そのシンプルな外観から思うよりもずっとむずかしい。
フランスパン、おいしくできますように。

オーブンに入れたら、見る見るうちに、クープが開き、
ほんのりと焼き色がついてきた。
パリパリ…と、ふくらむ音が聞こえそう。
わくわくする。
生地の一次発酵、成型後の仕上げ発酵、そしてオーブンに入れたときのふくらみ。
パン作りはこうして形や大きさが変わっていくのが楽しい。
小麦の粉が酵母と言う命の元を与えられて、おいしく育っていくのが嬉しい。
まさに生きものの成長を見ているようだ。

でもまだ未熟な腕。
なかなか思ったとおりには育ってくれない。
「なにか」の加減でふくらまなかったり、おいしくできなかったりする。
その「なにか」がまだよくわからないことがある。
思い通りに焼き上げられる日が来るのはいつのことか。

こんな私なのに、もう来月からは師範科に進むことになった。
月に1度のゆっくりペースの教室を2年半続けていた。
もう何十回もパンを焼いているはずなのだけれど、
本当にちゃんと身についているのかしら?
私などが師範科に進んでもいいのかしら?
不安なような、申し訳ないような、楽しみなような。

次からは、さまざまなフルーツや穀物から酵母を起こしてパンを作る。
試食させてもらった発芽玄米の酵母から作ったパンは、
舌に触れた瞬間から自然な甘みがうっとりと広がるようだった。
ふわふわとした口当たりの中に、しっかりとした穀物の香りがあった。
こくがあるのに、爽やかな後味だった。
こんなパンが作れるようになるなんて!
…作れるようになるかな?
やっぱりとても楽しみ。

そろそろフランスパンの焼きあがる時間。
オーブンの中を覗き込んだ。
こんがりといい色に焼けてきていた。
クープの広がりはちょっと足りないような気がする。
成型のときに、うまく芯を作れなかったらしい。
これはやっぱり、練習、練習。

タイマーが鳴り、オーブンからパンを取り出した。
広がる香りは最高!
色もなかなか。
ふくらみ不足はこれからの修行の余地があるということで。
あわてて天板に乗せたせいで、端っこが引っかかって、尻尾ができたのはご愛嬌。
これはなかなかのできではないかな?と自画自賛する。
熱々をすぐに割って、バターをのせて食べたくなる。
でもそれは今度、家で作ったときのお楽しみにね。
ここではあら熱をとったパンを、そのまま袋に入れて持ち帰った。
手提げ袋からただよってくるふくよかな香りと、ほのあたたかさが嬉しかった。

教室では、先生のつきっきりの指導があったので、なんとかできたけれど、
家でひとりで、火力も大きさも違うオーブンで、うまくできるだろうか?
きっといくつも失敗作ができるのだろう。
それでもいつか、思い通りにおいしいパンを焼けるようになるときを夢見て!
さあ、どんどんパンを焼きましょう。
修行はまだこれからだ。


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