ひとりごと
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リョウコ 2004年10月04日(月)


実家に静岡旅行のお土産を持って遊びに行った。
近くに住む妹や姪たちもやってきて出迎えてくれた。
リョウコはコンコンと苦しそうに咳をしていた。
やっぱり。
私もおとといの夜くらいから、呼吸が苦しかったのだ。
一緒に咳とひゅうひゅうの合唱。
不思議な連帯感。

5歳になる姪のリョウコと私の体質は似ている。
喘息もちで、風邪を引きやすい。
伯母の体質が似るなんて、これは斜め遺伝とでも言うのだろうか?
母親である妹にもわからないリョウコの苦しみが、私にはわかる。
そう思うと、よけいに親しみを感じ、愛しく思う。

私もリョウコも、早いうちに妹が生まれてお姉ちゃんになった。
まだ2歳にもならないうちに、母親の膝を譲ることになった。
ベビーカーからも降ろされた。
妹は甘えん坊の泣き虫だった。
お姉ちゃんは「しっかりしなくちゃ!」と思うようになった。
もしかしたら、そんなことも喘息のきっかけになったのかもしれなかった。

元気な3歳のリンコは、私のお土産をとても気に入ってくれたようだった。
フクロウの絵のタオルハンカチを丁寧にたたみ、嬉しそうに握りしめた。
かわいい白フクロウ饅頭も、にこにこパクパクと3つも食べた。
でもリョウコはそれどころではなかった。
このときばかりは母親の膝を独占して、コアラのようにしがみついたきり。
タオルハンカチは見たけれど、袋から出すこともできず、
もちろん、お饅頭を食べることもできず、苦しそうに全身を使って息をしていた。
妹が薬を吸入させようとすると、ぐずって泣いた。
呼吸に追い立てられて、苦しくて吸入のタイミングがつかめない。
一瞬だけ息を止める、それができない。
よくわかる。
励ましながら、私も一緒に吸入をした。
やがて呼吸は少しずつ穏やかになった。

妹がリンコの世話をするので、席を立たなければならなくなった。
コアラのリョウコは私の膝に移された。
嫌がりもせず、素直にリョウコは熱い頭を私の胸に押し当ててきた。
柔らかいさらさらの髪をなで、小さい背中をさすりながら胸がいっぱいになった。
がんばれ、がんばれ、早くよくなりますように。
祈りながら唱えながら、背中をさすり、頭を抱きしめた。
リョウコの重みと体温が私の膝と胸を湯たんぽのように温めた。
いつまでも抱いていたいような気持ちになった。
少しでも苦しさを吸い取ってやれたらいいのに。

妹が帰ってきて、またリョウコは母親の膝へと戻った。
私の膝はすうすうとした。
でもリョウコはずっとくつろいで楽になったように見えた。
当たり前でわかりきったことなのだけれど、リョウコのことを一番心配しているのは妹で、
リョウコが一番安心できるのは妹の膝の上なのだ。
ちょっとだけ寂しかった。

夕食後、リョウコもリンコも妹にもたれかかって眠ってしまった。
妹は、眠ったままの二人を連れて帰ることになった。
一番下の妹がひとりを抱っこして、家までお供することになった。
ぐったりと眠った子を抱きながら傘をさして、妹たちは門を出た。
その後姿を見送って、バイバイ、と手を振った。
すると妹の肩から、眠っていたはずのリョウコが小さく手を振るのが見えた。
にこりともせずに、でも確かに手を振っていた。
また胸がぽっぽと温かくなった。
リョウちゃん、お天気になったら、元気になったら、また一緒に遊ぼうね。


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