ひとりごと
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| アリはどこから来るかしら… |
2004年06月25日(金) |
最初の1匹を見つけたのは昼間、妹と電話をしているときだった。 「いやだ。こんなところにアリがいる。」と、 手元にあったティッシュでつまんだ。 よく見ると、リビングの床に4、5匹の小さなアリがふらふらと歩いていた。 「ごめん、なんだかアリが部屋の中に入ってきたから掃除をするね。」 と、妹との電話を終わらせた。
さて、じっくりと見ると、数匹のアリたちは どこへ行くともなく、さまようように部屋をうろうろしているのだった。 きっと偶然さまよいこんだアリたちが、何か獲物を探して探索しているのだろう。 うっかり落としたお菓子の食べこぼしなんかを見つけられたら困る。 早いうちに掃除をして、撤退させなくてはいけない。
早速散らかっていた部屋を片付け、掃除機をかけ始めた。 すると、何匹もアリと出会うのだった。 かわいそうだけれど、そのたびに掃除機で吸い込んだ。 どこから来て、どこへ行こうとしているのかわからないけれど、 アリ道を作られてしまったら、始末に困ってしまう。 数が少ないうちに、足跡を消してしまわなくてはいけない。 部屋の中のアリが見えなくなったところで、アリが通ったところを雑巾がけした。
獲物を見つけたアリは、巣に帰るときに道しるべとなるにおいをつけて行く。 仲間のアリは、そのにおいをたどって、間違いなく餌のところに行ける。 それでどんどん行列ができていくのだ。 アリを部屋から撤退させるには、元となる餌を取り除き、進入路をふさぎ、 アリ道の道しるべとなっているにおいをふき取らなくてはいけない。 玄関ドアの隅っこから入ったアリに、リビングのサイドボードの上にある キャンディージャーを見つけられて、大変なことになったことがあった。 延々と細いアリの行列ができたのだった。 たくさんのアリを退治して、玄関のたたきから、上り框、廊下、 リビングの床、サイドボードまで全部拭かなくてはならなかった。 今度はそんなことにならないように…。
ところがそんなに数はいないのに、アリはいなくならなかった。 全部吸い込んだ、と思っていると、ふらふらと1匹、湧くように出てくる。 じっと待っていると、また1匹。 まるでかくれんぼか鬼ごっこをしているようだ。 行列にならないので、どこから来ているか、どこへ行きたいのかもわからない。 根競べのようにアリを待ち(実は全然待っていない)、退治した。 早くあきらめてほしかった。
2、3匹、1匹…と、ちょっとずつアリを吸い込んでいるうちに姿が見えなくなった。 雑巾がけの効果があったらしい。 あらためてもう一度、ワックスをつけたモップでリビングの床をきゅっきゅと拭いた。 もうこれで大丈夫。 テレビの「ハリー・ポッター」も落ち着いてみることができた。
いつの間にか、うたた寝をしてしまった。 目が覚めたら、深夜だった。 つけっ放しだったテレビとパソコンを消し、歯を磨きながら床を見てびっくりした。 ついに…アリは行列を作っていたのだ。 今度は道をたどれる。 すぐに口をすすいで、アリの行列を追って行った。
進入路は、リビングの掃き出し窓の隅っこのようだった。 そこからアリの行列は始まって、リビングを横切り、キッチンへと続いた。 お料理やお菓子は出しっぱなしにしていないはずだけれど。 不安になりながら追うと、行列は流しの下端をたどり、 キッチンを横断して、さらにその奥の納戸まで続いていた。 納戸! 泣きたくなってしまった。 食料がいっぱい置いてある…。
今夜は眠れなくなるかもしれない、と半分あきらめて、行列を追った。 納戸に入ったアリたちは、次々と食料品のストッカーに入り込んでいた。 あぁ、やっぱり。 覚悟を決めて、ストッカーを開け、中身を出して掃除を始めた。 アリたちはどんどん奥へと続いていた。 ひとつひとつ確かめながら、缶詰や保存食、レトルトのパックやお菓子の箱を出した。 そしてとうとう、アリの目的にたどりついた。 ちょっとだけ袋の口が開いていた、黒砂糖のかたまりにたかっていたのだった。 これは確かにご馳走だ。
夢中になったアリたちでいっぱいの黒砂糖の袋は、そのまま庭に放り投げた。 もうこれは全部あげる。 結局ストッカーの中身は全部出して、大掃除をした。 まだうろうろしているアリは掃除機で吸い込んで、その端から雑巾がけをした。 こっちに向かっている行列も、逆にたどりながら吸い込んで、床を拭いた。 アリ道の痕跡が残らないように、きれいにしなくてはいけない。 こんな夜中にこうこうと灯りをつけて床に這いつくばって 私は一体何をしているのだろう、と情けなくなった。 暗かった外が、薄青くなってきていた。
最後に進入路の窓の前まで来た。 きちんと閉まるアルミサッシでも、隅っこには小さなアリが入る隙間があるらしい。 鍵もかけてあるのに、角から湧くようにアリが入り込んできていた。 そのアリたちを吸い込んで(申し訳ないことに罪悪感もなくなってきた…)、 サッシの隙間をガムテープで目張りした。 庭への出入りは反対側からできる。 とりあえず、このアリたちがあきらめるまで、ここは閉じておかなくては。 頑丈にべったりと布製のガムテープを何重にも貼り付けた。 やっと家の中にアリはいなくなった(ように見えた)。
もうこれで大丈夫だろうか。 家の中に入れなかったアリは、あきらめてくれるだろうか。 ほかの入り口を探そうとしなければいいけれど。 肝心の餌は、もう庭にあるのだから、そこで思う存分食べてくれたらいい。 部屋には入ってこないで…。 すっかり明るくなってきたけれど、もう眠気もない。 布団に入っても、起きて床を見るのが怖い。 アリさん、お願いだからあきらめて!
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