ひとりごと
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記念日 2001年11月10日(土)

ロッチと初めて会ったのは小学3年生の2学期の始業式の日。
私は泣き虫の転校生だった。
教壇のまん前に座らされた私に、すぐ後ろの席から
最初に笑いかけてくれたのがロッチだった。
心細さが安心に変わって涙顔のまま笑いかえした。
その日から私たちは友だちになった。

中学3年生のある日、ふたりは私の家で人形を作っていた。
その秋初めて出したコタツに足を突っ込んで
他愛もないおしゃべりをして、小さなことに笑いころげながら。
いつもいつもふたりで過ごす時間は楽しかったけど
なぜだかその日は特に楽しくて幸せだったのだ。
それでその日を「記念日」に決めた。

翌春、ふたりの道は分かれていった。
でも私たちの仲は変わらない。
記念日は忘れない。
毎年11月10日にはどちらともなく電話をして
少女の頃にもどっておしゃべりする。
会えなかった歳月はどこかへ飛んでしまう。
離れた距離は縮まる。
私たちは幼くなる。

今年の話題は、ついさっきひょんなことから
何十年ぶりかで出て来た4年生のときの作文のこと。
私はロッチのことを書いていた。
それを電話口で読んでみた。

「そしておとなになっても友だちでいたいと思います。」

たどたどしい、だけど今と変わらない筆圧の強い鉛筆の文字で
10歳の私はそう締めくくっていた。

「よかったね。」
「うん。よかったね。友だちでいられたね。」
「私ジンときちゃったよ。」

遠く広島に住むロッチは
私の耳元でちょっと声をうるませた。


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