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----------2005年05月18日(水) キミの手は止まる
とにかく今の時点ではっきり分かったことは、あまり自由を欲していない、ということだ。たとえばキミは海綿にだってなれるし、わかめにだってなれる。石ころにもなれるし、なりたかったら橋にだってなれる。ルールはたったひとつだけ。すべてを言葉で言い表すこと。現実世界のような掟や禁止は何もない。母を殺し父と交わってもいいし、ロミオとジュリエットが晴れて日の光の下で結婚の祝福を受けてもいいし、モスクワとワシントンD.Cに同時に核爆弾が落ちてもいいし、地球が破裂して宇宙のチリになってしまってもかまわない。
そんな何もかもが可能な世界を前にして、キミの手は止まる。キミがそう書けば、猫は人間よりも大きくなるし、日本は第二次世界大戦の戦勝国にだってなれる。言葉さえ知っていれば、キミは18歳の頃に戻ることもできるし70歳のおばあちゃんになることもできる、そして失われたものを取り戻すこともできるし、決して得ることのないはずのものを得ることもできる。
だけどキミの手は止まる。
海綿はそんなキミの隣で、美容師さんに丁寧に染めてもらった身体をふるふるとふるわせている。どうやら随分と黄金色に近づいたようだ。
ルールその18:ツタヤの会員証はいつも持ち歩くこと。
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