雨のち晴れ。午後からは汗ばむ程の陽気となった。
昨夜は豊後水道を震源とする大きな地震があり恐怖を味わう。
これまで何度か地震を体験しているが生まれて初めてのようだった。
四万十市は震度4と発表されたがもっと強かったのではないだろうか。
大きな揺れが収まったらすぐに高台に避難をと日頃から言われており
娘は防災リュックを背負いパニック状態になっていた。
娘婿は外の様子を見に行き孫達は玄関先でぶるぶると震えている。
めいちゃんが「おじいちゃんもおばあちゃんも来て」と泣き叫ぶ。
NHKを見ていた夫が「津波の心配はないぞ」と声を掛けて
やっと皆が落ち着くことが出来た。これで避難の必要はなくなる。
愛媛の宇和島市や隣町の宿毛市では少なからず被害があったようだ。
幸いと言って良いのか四万十市では特に被害はなかったらしい。
もう二度とこんなことは御免だと思いつつ南海トラフが頭を過る。
そうなればもっと大きな揺れに襲われ津波も避けられないだろう。
今後30年の間に80%の確率で必ず起こると言われているのだ。
それを思うと昨夜の地震は良き教訓になったのかもしれない。
帰宅後夫が妙なことを言い始めた。
今朝から燕が我が家に寄り付かなくなったと言うのだ。
娘も気づいていたらしく口々に不吉なことを言い合う。
夫は昨夜の地震は前触れで今夜あたり本震がありそうな気がすると。
娘は家が倒壊するのではないかとすっかり真面目顔であった。
私も不安でいっぱいになり最悪の事態を考えずにいられない。
その時であった。薄暗くなった窓の外から「ちちちち」と声がした。
燕が巣に帰って来てくれたのだ。ぱあっと目の前が明るくなる。
「良かったよかったもうこれで安心」皆が一気に笑顔になった。
悪いことを考え始めたらきりがないのだ。
いくら避けられないことであってもそれは「いま」ではない。
それよりも与えられた平穏に感謝しながら過ごさねばと改めて思う。
私はふと昨夜の胸騒ぎに似た不安を思い出していた。
切羽詰まったようなあの感覚はいったい何だったのだろう。
もしかしたら予知能力のようなものがあるのかもしれない。
それとも父と母が危険を教えてくれていたのかもしれなかった。
魂はそう遠くない処に居て見守ってくれているのだろう。
神よりも仏よりも父であり母である。
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