| 2019年07月07日(日) |
主なき家に咲く紫陽花 |
二十四節気の「小暑」そして「七夕」
梅雨が明けて本格的に夏が訪れる頃と言われているけれど
今年はまだもう少し梅雨空が続きそうだ。
七夕の日に晴れるのもめずらしく今日は梅雨の中休み。
若き頃ならば夜空を見上げてせつなく想うひともいたけれど
この歳になると孫たちに「織姫と彦星」を語るばかり。
今日はすこし遠出を。母の生まれ故郷まで足を伸ばす。
香美市香北町の美良布と言うちいさな町だった。
アンパンマンの生みの親、やなせたかしさんの故郷でもある。
母の生家はもう後絶えになっており今はもう廃屋と化しているけれど
車一台がやっと通れるほどの狭い山道を登った高台にある。
覚悟はしていたけれどそれはなんとも憐れな姿だった。
庭には草木が生い茂り一歩も中には入れない。
祖父母がいて叔母もいた遠い昔の光景を懐かしく思い出す。
子供の頃の夏休みにはずっとこの家で過ごしていた。
祖父がスイカを冷やしてくれた谷川の水。
さらさらと水音が聴こえる。それは今でも変わらない。
ひとつでも変わらないことがあるのがとても嬉しかった。
裏庭の方にまわってみたけれどそこも一歩も入れない。
塀から覗き込んで見るとまるで大きな木のような紫陽花。
もう盛りは過ぎていたけれどとても綺麗に咲いていた。
主なき家にそれは毎年咲いてくれていたのだろう。
なんとありがたいこと。おかげで哀しみも薄れていく。
その紫陽花の影に祖母が微笑んでいるように見えた。
思わず「おばあちゃん来たよ」と声が出る。
遠路はるばる悪路を連れて来てくれたじいちゃんに感謝。
「また来ような」と言ってくれてとても嬉しかった。
ふと母はもう来ることは出来ないだろうとはっきりとおもう。
荒れ果てたお墓を撫でるようにしながら谷川の水を供えた。
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