昔、社宅に住んでいました。 社宅での生活は、子どもの目から見て、 とても気づまりでした。
プライベートがだだ漏れで、 親の社内の立場が、 子どもにも影響していました。
小学生の時、会社の偉い方のお家に招かれました。 1人ではないと思いますが、 誰と一緒だったかは、まったく覚えていません。
その時、カステラが出されました。 横になったカステラの上に、 マーガリンがきっちりと塗られていました。 マーガリンが塗られたカステラを見たのは初めて。 私はかちこちに緊張していました。 粗相があってはならないと思っていたのです。 「ほめるところがなにひとつない」と 私は、よく、母に言われていました。 私は、出来が悪くて、 本を読んだり、絵を描いたりするのが好きな、 夢ばかり見ている子どもでした。 周りに自慢できるような子どもでなくて、 申し訳ないと思っていました。
かちんこちんで食べたカステラは、 甘くて、マーガリンの油脂と塩がプラスされて、 とても美味しかったです。 そのカステラのことしか思い出せません。
その時から、もうずいぶんたって、 私は、ばあさんになりましたが、 時々、カステラにバターを塗って食べています。
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