みみずのたはごと

2011年04月23日(土)  ☆てんてーの新書(ネタバレ)

怖いもの見たさと見たくなさが複雑に入り雑じって真剣に刊行日が怖かったんですけれども。
買い出し帰りに地元の本屋覗いたら棚に並んでたのでゲットしてきました。
羞恥プレイw
なんかもうね、新書棚に「大鳥圭介」って背表紙が5冊並んでるの見た瞬間にゴメンナサイって思ったくらい恥ずかしかった(笑) 都心の大型書店にわれ徒死せずがあっても「わあい!」て思うだけなのに……ww
んで。
――副題が『幕府歩兵奉行、連戦連敗の勝者』だって知った時点でかなり遠い目になってはいたのですが。ががが。
帯がね……。
真ん中にでかでかと「負けて、なお」って書かれてて、「負」の字が赤ヌキ強調されてるとかね。
さらに右肩(帯の)に「最後のサムライの生涯」ってやっぱり赤ヌキで解説されてるとかね。
…………。
ラストサムライ……?(げふんごふん)

しかし、それだけで脱力するのはまだ早かった。
怖いものってのは先に枯れ尾花を確認してしまえばちっとも怖くなくなるのがお約束ですから、何はともあれ、目次を開いて章立てを確認します。全8章で、冒頭2章が誕生〜陸軍まで、ラスト2章が降伏後。真ん中ぜーんぶ脱走中の約1年余の説明ですかー。うんまあそんな予感はしてたけど。むしろその後編に2章割いてもらえただけで御の字かもしれないくらいだけど。
パラ見した感触では、内容としては圭介伝と南柯紀行、福本先生の2冊を制覇してる人には今更の感があります。脱走中は他陣営の動きと重ねてあるのが便利といえば便利かな。……つーか、新撰組の記述、多くね?(苦笑)
そうそう、圭介ファンなら誰しも気になる、母成の顛末を会津史家がどう描くのかという点ですが。
南柯紀行の描写との温度差がすげえwww
そもそも猪苗代出張がかなり無理矢理捻じ込まれた話だったこととか、二本松攻撃で一回無駄足踏まされてるとか、山入で会津(と二本松)が早々に逃げた所為で伝習隊が苦労したこととか、それで伝習隊の士官兵卒が激怒って戦線離脱しようとしたのを圭介がどれだけ必死に説得したのかとか、
ぜーんぶ、すっぽかされてました☆
山入なんかさあ、「戦いが始まると、二本松と会津兵が浮き足立った。敵は戦争巧者だった。周囲の溝を潜行して、突然背後から攻めよせたため伝習隊は挟み撃ちされた。このため頭取浅田鱗之助ら三十人余の死傷者を出す惨敗となった。報告を聞いて大鳥は二本松も会津も当てにはならないと地団太踏んで悔しがった。(略)大鳥は木地小屋に引き上げたいという兵士をなだめて、この夜、山上の母成峠に泊まった」、以上。さらっとな。
敵が強かった所為じゃねえだろ……実際、伝習隊は押してたんだからさ……。

そーんなかんじで、チラ見しただけでかなり☆てんてー節炸裂!感の漲る一冊なんでございますが、後書きで執筆の動機について、福本先生の『われ徒死せず』に出会ったおかげだと記されてまして。前書きには「大鳥の生涯をたどり、その実像に迫りたい」とありまして。
ふむふむ、それでどんな結論が導き出されたのかしらね、と枯れ尾花の正体を見極めんがため最終章の最後のページを捲ったわけです。
最終章ですから、もちろん明治の生涯も解説した後です。

「大鳥の魂を貫くのは、やはり幕府への義であったと思われる」

…………へ?(°д°)

どーしてそーなった……????

;;orz



――と、まあ案の定というか何というか、かっ飛ばした一冊でした。5月の出勤のお供に頑張って読むつもりです。新書の影響力は侮れんからな。いざというとき反論するためにも押さえておかないとな。
4月中に手出さないのはアレですよ、読みたくないとかじゃないですよ。スパコミの準備があるからですよ!嘘じゃないもん!


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葛生冴 [MAIL] [HOMEPAGE]