ブラッドベリの『猫のパジャマ』という短編集を読んでいたのですが、最後まで読みきらずに放り出しました。短編集なのに。『緑の影、白い鯨』はあっさり読みきったのに。 ――なんていうのかなあ、物語の中にうまく這入りこめなかった。単純に「今読みたいもの」でなかっただけの可能性もあるんだけど、同時に、物語の持つ文化的精神的背景と共有するものが私の中になかった、ような感触もあり。 そういえば、ミステリ好きだけどクイーンにはあんまり嵌らなかったなあ(チャンドラーなんて2冊しか読んでねえし)。専ら英国に突っ走ってた。 英国とかアイルランドとか、そこまでではなくとも仏独とか、あのへんの西欧諸国については風景や文化圏のイメージが自分の中にあるので、行ったことのない土地でも文章を読んでいて情景が頭の中に浮かびやすいのです。溶けこみやすい。 それに対して米国はイメージが薄いというか、少なくとも登場人物の日常やバックグラウンドや精神的生い立ちに想像が追いつくほど、あの国を私は知らないし、知りたいという欲求も薄い。文化的歴史的背景も、肌ではなく頭で、理屈でしか理解していない、ので。たとえば遠巻きに差別的な情景を描かれても気づけなかったり、する。 もっとも、全然知らない遠い国の話でも丁寧に描かれていればするっと読めるじゃないかという点を鑑みるに、短編だったから余計にだめだったのかも。
そんなわけで、思わぬところでうっかり自分の西欧傾倒ぶりを再確認しておりました。 今月誕生月なので登録してる旅行サイトから続々と「割り引いたげるよー海外行きなよー」というお誘いが来てたまに理性がぐらりとするのですが踏ん張ってます。おまえ2月に英国行ったばっかだろ。しかも直接雇用になったから有給消えたろ。最低でも9月までは我慢しろ? (でも行きたいなあ英国!)
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