みみずのたはごと

2005年10月21日(金)  読書感想文

今週は外回りと会議が交互に入ってくるような日程で、そこへ微妙な体調不良が重なったため、ギリギリ採算が間に合ってないかんじの一週間でした。な、長かった…。そして辛かった…。
体力的には今日などもうレッドゾーン振り切れだったんですが、鬱憤晴らしを兼ねて帰りに本屋さんに寄り道。新刊書店でも古本屋でも、本屋という空間は私にとってワンダーランドです。何時間でも居座れる。(←立ち読みはあかんという常識はこの際すっ飛ばせ)

本日の収穫。
『漫画が語る明治』 清水勲 (講談社学術文庫)
『新撰組捕物帖: 源さんの事件簿』 秋山香乃 (河出書房新社)
『逝きし世の面影』 渡辺京二 (平凡社ライブラリー)

秋山香乃さんは賛否ありますが、私は好きです。巧いなあと思う。格調高く意趣を凝らした文章だけがいい文章というわけじゃなくて、実は平易な言葉で組み立てていくほうが難しい作業だったり、します。物を知っている人ほど、とかく凝った言い回しをしたがる。そのほうが雰囲気出ることもありますが、簡単に言えるならそれに越したことはない。この作家さんは非常に芸の細かい人で、よく資料を読んでいるなと感心させられます。何より、この人は引き立て役を作って主人公を活躍させるという手段を取らない。そのほうがストーリーが作りやすいにもかかわらず。
作家さんというのは史学者ではないから、作品を創る過程での登場人物のキャラクター付けは避けられない作業です。そこで史実がどうのと必要以上に騒ぐ気はありません。創作なのだから、歴史学じゃないのだから、要は面白ければそれでいい。ただし、実在の人物を貶める手法だけは、私、どうしても生理的にアウトでして。その対象人物が好きか嫌いかに関係なく、例外なく嫌な気分になるので。秋山さんの場合、その心配をせずに済むので、心置きなくストーリーを楽しめるのがいちばん嬉しいですね。
……と、クソ真面目な感想を書いてみましたが、頭の中では「イバトシ!」と「尾形!」という単語が回っております。源さん主人公だからそういう方向性はないと思ってたのに、何あの可愛い生きもの。どうしよう。ネタバレになるのでこれ以上は言えない…。あと、去年の大河といい『地虫鳴く』といい、尾形俊太郎って今、旬なの?

『逝きし世の面影』は相当の量と中身があるのでじっくり読もうと思います。平凡社はレポート材料を入手していた学生時代から好きな出版社さんです。豪華ラインナップに惚れる。問題は、欲しい本すべてを格納する場所と入手する元手と読みきる時間と根性が圧倒的に足りないということだ。とりあえず誰か私に書庫をプレゼントしてください。宜しく。

メッセージ返信と更新準備は週末中に。今日はもう寝ます。背中痛い。


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葛生冴 [MAIL] [HOMEPAGE]